中小企業の会計に関する指針
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 本指針の作成に当たっての方針


 要 点
企業の規模に関係なく、取引の経済実態が同じなら会計処理も同じになるべきである。しかし、専ら中小企業のための規範として活用するため、コスト・ベネフィットの観点から、会計処理の簡便化や法人税法で規定する処理の適用が、一定の場合には認められる。
会計情報に期待される役割として経営管理に資する意義も大きいことから、会計情報を適時・正確に作成することが重要である。


6.会計基準とその限定的な適用

 中小企業に限らず企業の提供する会計情報には、本来投資家の意思決定を支援する役割や、利害関係者の利害調整に資する役割を果たすことが期待されている。
 投資家と直接的な取引が少ない中小企業でも、資金調達先の多様化や取引先の拡大等に伴って、これらの役割が会計情報に求められることに変わりはない。その場合には、取引の経済実態が同じなら会計処理も同じになるよう、企業の規模に関係なく会計基準が適用されるべきである。本指針は、基本的に、このような考え方に基づいている。
 しかしながら、投資家をはじめ会計情報の利用者が限られる中小企業において、投資の意思決定に対する役立ちを重視する会計基準を一律に強制適用することが、コスト・ベネフィットの観点から必ずしも適切とは言えない場合がある。そこでは、配当制限や課税所得計算など、利害調整の役立ちに、より大きな役割が求められる。また、中小企業においては、経営者自らが企業の経営実態を正確に把握し、適切な経営管理に資することの意義も、会計情報に期待される役割として大きいと考えられる。本指針では、その点も考慮して、中小企業が拠ることが望ましい会計処理や注記等を示している。


7.法人税法で定める処理を会計処理として適用できる場合

 法人税法で定める処理を会計処理として適用できるのは、以下の場合である。1

(1)  会計基準がなく、かつ、法人税法で定める処理に拠った結果が、経済実態をおおむね適正に表していると認められる場合

(2)  会計基準は存在するものの、法人税法で定める処理に拠った場合と重要な差異がないと見込まれる場合

 1  一般的な中小企業の実務においては、法人税法で定める処理が容認されるケースが多いと考えられる。


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