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修理・点検・保全サービスで「在・日本の世界展開」を目指す

(17/03/16)

 下請けメーカーから修理・点検・保全のサービス会社に変身し、脱・下請けを成し遂げたのが京西テクノス(東京都多摩市、臼井努社長)。モノからコトへ、モノづくりからモノづくりに付帯するサービスへと、世の中の価値がシフトする流れに乗った格好だ。メーカーのサポート期間が終わった機器を修理し延命させるといったニッチビジネスを拡充・発展させてきて、「日本にいながらにしてのグローバル化を具現化したい」(臼井社長)と、今、世界市場も見据えている。

 同社は臼井社長の祖父が1946年に立ち上げた下請けメーカーのグループ企業として2002年に発足した。臼井社長は、大学卒業後、大手メーカーに6年間勤めて、その後、祖父の企業に入社した。1990年代後半のことで、下請けメーカーの多くは大手親会社の海外進出などから苦境に立たされ、臼井氏も厳しさを実感。たまたま、故障した機械を修理した際、高額の料金を請求されたのがヒントとなって、メンテナンスサービスのプロジェクトを発案し、それが今日の京西テクノスにつながっていく。

 特定分野に絞り込んだ修理・メンテサービスを手がける企業は少なからず存在する。その点、同社は「マルチベンダーサービス」を標榜し、情報通信、計測、医療といった広範なジャンルの電子機器類に幅広く対応することで、他社との差別化を図っている。各機器メーカーのエンジンニアを迎え入れるなど体制整備に力を入れ、ワンストップでのサービス提供を実現。こうした点が評価され、修理実績は累計1万50000台を超え、さらに、通常は50%を切るとされる修理完遂率が95%にも達するという。

 臼井社長は「In Japan for Global。つまり、日本にいながらにしてのグローバル展開を二つのストーリーで考えている」と打ち明ける。一つはネットワークを介してリモートで海外の製品を24時間・365日、監視しメンテをする仕組みづくり。現在、各メーカーとの商談が進行中だ。もう一つが、海外の故障品を国内空港のフリートレードゾーンで修理する試み。すでに国際物流企業と提携して関西国際空港で立ち上げており、沖縄でも同様のサービスに取り組む計画を煮詰めている。

 付加価値をサービスに求める。1960年代にダニエル・ベルが唱えた脱工業化社会あるいは80年にアルビン・トフラーが指摘した「第三の波」を持ち出すまでもなく、時代の大きなうねりは第三次産業へと向かっており、京西テクノスの躍進は、そのうねりを捉えた好事例となろう。臼井社長は、リモート監視などのからみから、最近ハヤリのIoT(モノのインターネット)にも強い関心を示している。まだまだ伸び代たっぷり、次の一手が楽しみな同社である。

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