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「動きの科学」を追究し、FAを支えるファブレスVB

(17/02/02)

 「『動き』を売っている会社です」ーテクノダイナミックス(静岡県菊川市)の加藤寿尚社長が、自社PRの際によく使うキーワードは「動き」だ。その言葉通り、同社は動き=モーションに照準を合わせて、サイエンス・イン・モーション(動きの科学)を追究。半導体や医薬品の自動生産ラインで使われる位置決め・搬送装置、減速機などFA(ファクトリー・オートメーション)関連の技術開発を得意とし実績を積み上げている。「一番重視するのはスピード」(加藤社長)と、経営の舵取りでも“高速の動き”にこだわりを見せる。

 同社は精密機械メーカーの企画開発に携わっていた加藤社長が、2011年に独立・起業した。山梨大学で機構学・ロボット工学の第一人者、牧野洋氏に学び、その後、英国に留学したキャリアを持つ加藤社長は「技術的に実現したいことやプロセスを考えたとき、起業が最良の方法だと判断した。グローバルな事業展開も手掛けたかった」と6年前を振り返る。

 位置決めカムユニット、オーバートルク遮断クラッチ、精密減速機…。これら機構製品を提供する一方で、オーダーメイドによる自動機械システムや制御システムの開発にも力を入れ、ハードウエア・ソフトウエアの両面を備えた技術コンサルティング企業として、存在感を高めている。半導体、医薬品をはじめ自動車、食品、日用品など各方面の日本を代表する企業がクライアントとなっているのが、同社の技術力の高さを如実に物語る。

 技術の確かさを示す、もう一つの事柄として、米国企業との提携話が挙げられよう。同社は今年1月初め、創業100年余の老舗・名門で、現在、世界10カ国で事業展開している米国デトロイトの産業用自動化機器・把持装置メーカーと技術提携した。提携に基づき、両社は製品開発と販売・マーケティングで全面協力し、世界市場を開拓していく。米国大手が、起業から6年目のベンチャーと相互補完の提携を結んだのは、その技術力を高く評価したからにほかならない。提携により、加藤社長が創業時に思い描いたグローバル企業への大きな一歩が踏み出された。

 「変化に対応するスピードが何より大切」。スピード最重視の経営を有言実行する加藤社長は、スピードを落とす要因となりがちな生産工場を持たないファブレスに徹している。さらに「ファブレスを乗り越えた「頭脳資産経営」を心がけている」とポスト・ファブレスを語る。その心は「モジュール設計された各位置決め、固定要素を拡充し、ユーザーが『レゴ』のブロックのように自由に組み替え可能なハードと、それを動かす頭脳ソフトを提供する」というものだ。さて、「動き」と「スピード」と「頭脳」が重なり合った先には、一体どんな景色が広がるか…。

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