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炭酸泉に魅せられ起業、第2の人生に意欲みなぎる

(16/06/09)
 水に炭酸ガス(=二酸化炭素、CO2)が溶け込んだ「炭酸泉」は、身体に良い作用を及ぼす“魔法の水”で、「療養泉」や「心臓の湯」とも言われている。その炭酸泉に魅せられ、医療機器メーカーを退社し、独立・創業したのが、CO2システムズ(横浜市)の山崎啓二社長だ。「炭酸泉の効果効能には確かなものがあると確信し、炭酸泉を広く一般に普及させたいとの思いから起業に踏み切った。炭酸泉と出会ったことを人生最後のチャンスとも思った。」と、“第2の人生”に意欲をみなぎらせる。
 同社は2年余り前の平成26年2月に、それまで、商社、医療機器メーカーで営業一筋のサラリーマン生活を送ってきた山崎氏が設立する。山崎氏は、医療機器の仕事を通して炭酸泉のすごさを知り、会社での炭酸泉製造装置の製品化も検討したが、諸般の事情から、製品化は断念せざるを得なくなる。それならば…と、自ら起業し、同装置の事業化に乗り出す。役職定年が近づいた56歳の決断だった。
 炭酸泉の最大の効用は、血管を拡張して血流を良くする働きにあり、関連の論文が学会誌等に多数掲載されている。炭酸泉の温泉としては、炭酸含有濃度で日本一、二を争う吉川温泉(兵庫県三木市)や山香温泉(大分県杵築市)が知られる。ただ、全国1万7000カ所以上の泉源のうち、炭酸温泉は100カ所もない希少なもの。そのため、手軽な炭酸入浴剤が人気を呼び、人工的に炭酸泉を創り出す製造装置も商品化されている。
 同社製品は、独創的な多機能混合システムやオートストップ機構を搭載した小型、軽量、無電源の装置で、皮下に浸透しやすく、血管拡張に効果がある100ナノメートルサイズの微細な炭酸ガスを高濃度(約1000ppm)で発生、供給できるのが特徴。低価格、使いやすさも売り物となり、競争力を十二分に備えていると見て、昨年12月、一般家庭および介護福祉施設やスポーツジムを対象に発売した。山崎社長は「長年、営業畑に身を置いたが、常に現場の声に耳を傾け、製品開発の見識を育んできたとの自負がある。アイデアを具 体的な形にしてくれる仲間に恵まれた。」と胸を張る。
 血行の改善、血圧低下作用、関節痛・筋肉痛の緩和から美肌・保湿効果まで、健康と美容に有効な炭酸泉を、同社では「未病(病気ではないが健康でもないグレーゾーン)対策にうってつけ」などとPRして、装置の売り込みに拍車をかけている。また、人工炭酸水と次亜塩素酸ナトリウムの混合による除菌水製造装置を開発し、第2の柱とする計画も進めている。「自分自身の可能性を試そうと起業し、最初は不安もあったが今はワクワクしている。」と語る山崎社長は、すっかりベンチャー経営者の顔つきとなっている。
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