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アジア諸国など、海外進出先の労使紛争が分かる一冊
(14/05/23)

 厚生労働省は、このたび『海外情勢報告2013』を公表した。これは、同省が、諸外国の労働情勢と社会保障情勢全般に関する情報を、毎年取りまとめているものだ。

 構成は「特集」と「定例報告」からなり、今回の「特集」では、アジア7か国(中国、インド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム)の「労使紛争とその解決制度」を紹介している。昨年公表された『海外情勢報告2011〜2012』でアジア4か国(インド、マレーシア、シンガポール、ベトナム)について報告したのを引き継いだ形で、今回は「中国」を取り上げたのが特徴的と言える。

 中国に関しては、昨今の賃金高騰や反日暴動などを嫌気して日本企業の撤退や中国以外への進出先変更の話も聞かれるが、直接投資残高を見る限り依然として中国の存在感は大きい。その中国では、改革開放経済が進展するにつれ、また、労働紛争に係る法制度が整備され、労働者の権利意識の高まりとともに、労働紛争は増大傾向にあることが報告されている。なお、中国は社会主義体制なので労使対立は存在しない建前から「労使紛争」ではなく「労働紛争」と呼ぶとのことで、また、主に中国南部で日本企業を標的として多発したストライキ等の労働紛争は賃上げ目的のものが多く、企業が賃上げに応じることで終息しているそうだ。

 『報告』の後半「定例報告」では、欧米・アジア諸国・豪州について、雇用・失業情勢と労働・社会保障施策を紹介している。諸国の雇用・失業情勢を概観すると、米国・英国の失業率は低下傾向にあり、ドイツの雇用情勢は堅調だが、フランスを始めとする多くのEU加盟国の失業率は悪化傾向にあるとのことだ。

 海外進出により現地採用を行う可能性がある会社は、その国の労働情勢や紛争解決制度等も知っておくべきなので、自社に関連する箇所だけでも読んでおきたい。

【参考】厚生労働省サイト > 「2013年 海外情勢報告」


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