証券取引所公式解説

マザーズ市場
信頼性向上・活性化に向けた取組み
マザーズ
株式会社東京証券取引所 上場推進部



マザーズ市場の現状と東証によるIPOサポート

 東京証券取引所(以下、「東証」という。)は、平成11年11月11日、資金を必要とする新興企業にその調達の場を広くご提供し、また、投資者の皆様が成長性の高い企業への投資をすることができるよう、既存市場とは明確に異なるコンセプトの新市場として、マザーズを創設いたしました

 その後、社会情勢の変化とともにマザーズを取り巻く環境にも大きな変化が見られました。これを受けて東証は、平成21年11月にマザーズのコンセプトを「市場第一部へのステップアップのための成長企業向けの市場」として再確立いたしました。また、平成23年3月には、マザーズの信頼性向上及び活性化に向けた取組みを行っております。

マザーズ新規上場会社数の推移
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
7社 8社 32社 55社 37社 40社 22社 12社 4社 6社

 東証では、昨今のIPO市場の状況を鑑み、中期経営計画において、「IPOの拡大」「営業体制の強化」を掲げております。

 具体的な施策として、いままで上場推進室としてあった新規上場のサポート機能を、2011年4月に「営業本部上場推進部」を設置することで拡充・強化いたしました。これにより、上場を検討されている各社様それぞれに対して、個別のご説明・ご相談をさせていただくとともに、皆様のご理解を得られるよう様々な形でのプロモーション活動をしております。




上場審査基準

 マザーズでは、高い成長可能性を有する企業を上場対象としています。上場審査においては、長期的な視点で高い成長可能性を評価するため、利益の額などの財務数値に関する基準は設けておりません。

形式要件(抜粋)
株主数※1 300人以上 (公募500単位以上)
流通株式
※1※2
a.流通株式数  2,000単位以上
b.流通株式時価総額  5億円以上
c.流通株式数(比率)  上場株券等の25%以上
時価総額※1 10億円以上
事業継続年数 新規上場申請日から起算して、1年前以前から取締役会を設置して継続的に事業活動をしていること
利益の額
虚偽記載又は不適正意見等 a.「上場申請のための有価証券報告書」に添付される監査報告書(最近1年間を除く)において、「無限定適正」又は「除外事項を付した限定付適正」
b.「上場申請のための有価証券報告書」に添付される監査報告書等(最近1年間)において、「無限定適正」
その他 東証の承認する株式事務代行機関に委託しているか、又は当該株式事務代行機関から株式事務を受託する旨の内諾を得ていること 等
※1 上場時の公募等により満たす基準であり、上場申請いただく段階で満たしている必要はありません。
※2 流通株式:大株主及び役員等の所有する有価証券、申請会社が所有する自己株式など、その所有が固定的でほとんど流通可能性が認められない株式を除いた有価証券をいいます。

実質基準(抜粋)
1. 企業内容、リスク情報等の開示の適切性
2. 企業経営の健全性
3. 企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性
4. 事業計画の合理性
5. その他公益又は投資者保護の観点から東証が認める事項

高い成長可能性

 申請会社が高い成長可能性を有しているか否かについては、主幹事を務める証券会社が判断することになります。

 一般的に企業の成長(成長するまでの期間や伸び率等も含め)は、企業の規模や属する業界、事業特性等によって様々であると考えられることから、高い成長可能性の判断の目安となるような数値基準は設けておりません。そのため、申請期前後における「右肩上がりの業績」や「申請期における黒字化」を求めてはおりません。




マザーズの信頼性向上及び活性化に向けた取組み

 2011年3月には、マザーズの信頼性向上を図るとともに、成長企業への資金調達機会の提供という新興市場本来の機能を果たす観点から、以下のようなマザーズの信頼性向上及び活性化に向けた取り組みを行っております。

概要
新規上場の活性化に向けた施策
(1)市場コンセプトに即した上場審査手法の導入
○上場直後の経営成績が良好となる見込みのあることは要件としないことを明確化し、長期的な視点で事業計画の実現可能性を評価する方法へ変更

(2)上場審査プロセス効率化のための対応等
○主幹事証券会社作成の推薦書の提出時期の見直し
○標準上場審査期間の設定(2か月)
○上場審査プロセスの整理・見直し
○上場審査スケジュールの事前提示
○上場に至らない場合の文書による明確な理由等の説明
○反社会的勢力の関与等について確認すべき範囲や審査の取扱いの整理・見直し
○上場準備段階における事前相談の透明性向上、フォローアップの強化

(3)遡及監査の実施に向けた環境整備
○今後の市場関係者による議論を踏まえ、必要な上場制度の見直しを検討
○日本公認会計士協会に対し、いわゆる遡及監査の実施に関連して必要な環境整備を要請

(4)未上場ベンチャー企業に対する上場支援の強化
○未上場ベンチャー企業と市場関係者との接触機会の提供を目的とした交流イベントの開催

流通市場の活性化に向けた施策
(1)アナリスト・カバレッジ拡大に向けた取組み
○アナリスト・カバレッジ拡大に向けた取組みの実施

(2)上場後間もない会社のIR支援
○アナリストや機関投資家を対象としたマザーズ上場会社の合同IR説明会の開催
○IR助言サービスの活用支援

流通市場の活性化に向けた施策
(1)財務諸表の信頼性向上のための対応
○上場会社監査事務所による監査の義務付け
○日本公認会計士協会に対し上場会社監査事務所登録制度などの一層の充実とその適切な運用を要請

(2)上場審査の実効性向上のための市場関係者との連携強化
○新規上場申請者に関する情報の入手先の多様化
○主幹事証券会社、会計監査人及び財務局との情報共有と対応の要請
○主幹事証券会社に対し引受審査内容の報告を要請
○外部専門家・調査機関の活用
○内部告発情報の取得と活用
○有価証券報告書の虚偽記載等の事例に係る情報交換

(3)市場コンセプト明確化のための対応
○長期上場銘柄に係る上場廃止基準の見直しと市場コンセプトへの適合性確認プロセスの新設

 今後も東証では、マザーズへの上場を希望される会社やマザーズ上場会社のサポートを積極的に行うとともに、マザーズに対する投資者の皆様の信頼性向上に努め、市場の活性化を図ってまいります。


 ※詳細については「東証ホームページ マザーズ」をご覧ください。


【お問い合わせ先】
株式会社東京証券取引所
上場推進部
TEL:03−3666−0141(代表)


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