証券取引所公式解説

AIMの概要
〜ロンドン証券取引所上場という選択〜

  第8回 「企業弁護士」
AIM
ロンドン証券取引所   阿部 直光

 今回はCorprate Lawyer(企業弁護士)について説明させていただきます。

 AIM上場準備、あるいは、追加増資などでは、企業側の弁護士とNOWADやBroker側の弁護士、両方が必要となります。海外企業、ビジネスや資産のほとんどを英国以外の地域に依存している企業などの場合は、デューディリジェンスや検証プロセスをサポートする地元の法律事務所が必要となってきます。その資格要件に関する特定のルールはありませんが、英国弁護士の場合であればコーポレートファイナンス法に精通していること、海外弁護士の場合はその国内で合法的に資格を取得していることが不可欠です。


法律事務所の役割

 企業側の弁護士は上場プロセスの中で中心的な役割を果たし、企業や子会社の組織、上場や資金調達に関連する書類や役員の責任等についてアドバイスします。その主な役割は以下の通りです。

1. 企業のリーガルデューディリジェンスの実施、企業、子会社を含めた会社組織の構築、それぞれの資産表記の確認、重要規約、従業員契約の検証、現行、あるいは訴訟見込みの見直し、リーガルデューディリジェンスレポートの準備

2. 必要であればリストラクチャリング、持ち株会社設立も含めたアドバイス

3. Admission Document草案作成のアドバイス、この中には役員、その他のアドバイザー(地元法律事務所を含む)へのアシスト、関連書類の正確性の確認、最も重要なのはAdmission Documentの後半部分の法的、一般セクションの準備

4. 企業、役員、NOWAD、Brokerとの間で取交わされるplacingやintroductionに関する契約内容、契約上、企業や役員に与えられる保証、免責条項の範囲の交渉

5. 役員、主要スタッフの雇用契約の準備

6. 役員、従業員の株式オプションの草案作成

7. AIM Admission Documentで規定される役員の責任、コーポレートガバナンス、placingやintroductionに関する契約内容で企業や役員に与えられる保証、免責条項の範囲内での企業の法的責任に関するアドバイス

8. AIM Admission Document(pathfinder and placing Proof of admission document)の内容が正確であることを保証する質問形式の証明メモの作成と、その質問に対する役員、その他のアドバイザーの答えを収録

9. 企業、NOWAD、Brocker、それぞれの上場プロセス、上場後の役割分担を規定する合意についての条件面の交渉、アドバイス

 10. 役員によって署名される議事録、執行委員会の権限書、弁護士の権限書等を作成、Admission Documentを認可することで負う責任について理解していることを確認

 11. AIM上場手続き、上場後の企業、役員の継続開示義務における一般的な法的側面のアドバイス

 NOWADやBroker側の弁護士は、Admission Document、サポート書類の他にNOWADやBrokerが出す全ての投資事項に関する書類の見直しを行います。またNOWADやBrokerの代わりにplacingやintroductionに関わる契約、NOWADとBrokerとの契約等の交渉や草案の作成、NOWADがAIMルールを遵守しているか助言します。

 AIMはロンドン証券取引所によって規制、運営され、AIM上場を目指す企業はロンドン証券取引所が作成したAIMルールを遵守することが求められます。AIMは成長企業のために創設された市場ですから、AIMルールは比較的、シンプルで明快に作られており、他の市場のルールと比較すると、上場要件も継続開示義務も緩やかな規制になっています。

 そのようなAIM規制システムのバランスを維持しているのがNOWADシステムです。AIMルールは、・・・


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