会社を良くする「経営の教科書」
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経営の教科書
(2016.10.11)

第66回 数値化したライフプランから考える「次の一手」(1)

 前々回、前回の数値の整理によってあなたのライフプランが数値によって顕在化されました。初期値として現在の現預金及び現預金等等価物(株式投資や投資信託等現金価値の有るもので、即現金化可能なものの時価)に、年度ごとの「収入」−「支出」による結果を累計すれば、それが資産残高の合計になります。

 グラフにすれば、次のようなイメージになります。

 見て頂いたらお解りになる通り、【A社長】は平均余命時点で現預金の残高は大きくマイナスになります。収入を増やすか、生活水準を下げ、やりたいことを減らす必要があります。収入を増やすということは、役員報酬を増額することになります。当然、会社の財務内容が悪くなる可能性が出てきます。

 一方【B社長】は、平均余命時点で現預金残高はプラスですから、リタイヤ後もやりたいことを充分にやっても大丈夫です。但し、万が一の場合の相続税が気になります。場合によっては、役員報酬を引き下げて会社の財務体質を更に改善するよう舵を切っても良いかもしれません。その場合は、後継者への株式移転のタイミング等が気になってきます。

 お分かりの通り、経営者個人のプランニングはそのまま会社の将来像に影響することになります。役員報酬一つにしてもそうです。「まさか役員報酬を、法人税と所得税のバランスで決めていませんよね?」という話になります。税金は結果論です。前提として「あなたは何をしたいのですか?」ということから出発して下さい。

 次回は、それぞれのパターンをもう少し掘り下げてみます!