会社を良くする「経営の教科書」
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経営の教科書
(2016.09.06)

第64回 個人のライフプランを数値化する(収入編)

 「未来を予見するもっともよい方法は、自らその未来を創りだすことである」と言ったのはドラッガーです。「自分の運命を支配する価値観を持ちなさい。そうしなければ誰かに支配されてしまうことになります」と言ったのは、ジャック・ウェルチです。

 ともすると私達は自分の人生を自ら設計するということを後回しにしがちですし、どうなるかわからない未来を自ら描くことは出来ないと、受動的に捉えてしまいます。しかし、果たしてそうでしょうか?実は自分の将来を描くことはそれほど難しいことではありません。

 手元の紙にご自身の現在の年齢から想定する寿命(平均余命で可。男性79歳。女性86歳)を書いて下さい。その下に、年収を入れていきます。年収は税金や社会保険料を控除した手取り額で構いませんし、細かな端数にこだわる必要はありません。経営者なら自分が勇退する年齢まで。サラリーマンなら会社の就業規則に基づく退職年齢までになります。

 年次昇給を想定するか否かは自由です。退職時には退職金を記載します。希望的観測か、厳しく見るかはあなたに任せます。その他、不動産収入等があればそれも記載していきます。更には、配偶者に収入があれば、同様に退職時までの年収、退職金、その他収入も記載します。

 次に、65歳からは年金支給が開始されます。将来年金なんかあてにならないと思えば、敢えて加算しなくても良いですし、現状の平均で考えるなら、国民年金で約60万円、厚生年金で約160万円程度です。その他、自分で加入している年金保険等があれば、合わせて記載してください。

 その表を合計すれば、それが現時点で想定されるあなたと配偶者の合計生涯年収になります。難しいことではありませんが、意外と考えていないのです。その通りにならないかもしれませんが、変更になったらその時点で書き変えればいいのです。少なくとも未来を数値で抑えたことになります。大切なのは、現在見えていることから、見えないことをみようとすることです。

 さて、収入はあなたの働いている会社の業績で左右されます。会社とあなたの人生は深く関係しています。そのことを是非意識の真ん中において下さい。個人の人生設計と、会社のビジョンは繋がっているのです。次回は支出について整理してみます。