会社を良くする「経営の教科書」
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経営の教科書
(2016.07.08)

第60回 個人の限界を超える会議(当日の運営2)

 生産的な会議(個人の限界を超え、具体的行動に結びつける為の会議)を実現する上で絶対必要となる4つの「Role(役割)」の中から前回は【ファシリテーター】についてお伝えしました。今回は、残りの3つ【タイムキーパー】【スクライバー】【プレゼンテーター】の役割について整理します。

■タイムキーバー(時間管理)

 タイムキーパーは、予め、会議のプロセスを明記したアジェンダに従い、会議全体の時間管理はもちろん、セクション毎に残り時間を周知しながら会議をリードします。例えば、事前にブレーンストーミングによって10分間アイデアを出しあうと決めていれば、その時間を「残り◯分です」とメンバーに伝えていくのです。

 これによってメンバーが会議に集中できると同時に、ダラダラとした残り時間の見えない会議から開放されます。更に一人の独演会になるという現象も避けやすくなります。実践してみると、単なる時間管理以上の効果がある事に驚くはずです。是非実践して下さい。

■スクライバー(書記)

 書記というと、ただ黙々と議事内容を筆記していくイメージを持ってしまうかもしれませんが、ここでいうスクライバーとはそのような役割ではありません。メンバーの発言を文字にして皆に見えるようにします。ホワイトボードや模造紙、プロジェクター等を活用し、発言をまとめながら、時に図式化しながら表現していくのです。

 スクライバーは発言にシンプルさを求めます。曖昧な発言を許さず、より鮮明な意見に整理しなければ表記できないからです。つまり、「今の発言はこういう意味ですか?」「こういう表現でいいですか?」「先ほどのAさんと同じ趣旨だと捉えて良いですか?」そんな言葉をスクライバーは多用します。黙々と筆記するイメージとは随分違いますよね?

■プレゼンテーター(発表者)

 会議の最後に登場するのがプレゼンテーターです。会議の最後に、本日の大まかな進行と辿り着いた結論をメンバーに発表します。参加していたのだから発表は不要では?と思われた方、実はそこに大きな落とし穴があります。同席していたはずの会議の内容や結論の認識にズレがある事はめずらしくないのです。更にそのズレは時の経過とともに大きくなります。

 プレゼンテーターがまとめた内容に対して「その内容は少し異なるのでは?」という発言が出される場面は多く、それらの意見をすり合わせながら最終的にコンセンサスが実現します。また発表を控えたプレゼンターは、拡散しがちな議事内容を「まとめよう、まとめよう」してくれることにも一役かってくれます。

 航海を続ける企業が舵取りをするために会議はとても重要です。今回紹介したそれぞれの役割を上手に活用し是非会議のスキルを高めつつ、生産的な会議を実現し下さい!