会社を良くする「経営の教科書」
経営の教科書
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第56回 現場の先端で発生している問題をトップが把握していますか?
(改善力 その1)



 会社(船)の船長である社長に「現場の先端で起こっている問題や、お客様の声が届く仕組みがあるか?」についてお尋ねします。以下の選択肢から御社の現状に最も近い状態を選択してください。

Question 現実を直視し、正しい戦略を打ち出すために、自社の現場で起こっている問題やお客様の声(特にクレーム)が経営トップである社長に届くように、報告・連絡・相談の仕組みを確立していますか?

 Level1)  報告・連絡・相談の仕組みが確立できおらず、上司から促されないと報告しない。

 Level2)  社員から報告はあがってくるが、全て事後報告であり、事実を知った時には手遅れという場合が多い。

 Level3)  報告・連絡・相談の仕組みはもちろん、必要に応じてリアルタイムで報告・連絡・相談がなされ、現実を踏まえた戦略が立案できている。

 企業経営において最も重要な、戦略立案の為に必要な情報は、現場の最先端でお客様に接している社員が知っています。これほど変化の激しい社会では、社長室で報告・連絡・相談を待っているだけでは適切な戦略を打てません。企業活動の結果は全て現場に集約されており、現実を踏まえない企業の改善活動が実を結ぶことはありません。

 また、企業が成長・発展するために真に必要な情報は自社の「問題」に関する情報です。何故なら、問題を解決すれば未来の新しい可能性が生まれるからです。耳触りの良い報告からは、現状を打破し、成長・発展する戦略は生まれません。その意味において、お客様からのクレームをはじめとする自社の問題は、自社の新たな価値であり新戦略の源泉となりうるのです。

 一方で、社員は問題やクレームを上司に報告したくありません。上司からの評価を失う可能性があるからです。そのリスクを負ってでも、報告・連絡・相談が行われるのは、上司に対する信頼と自らの仕事に対する使命観が一貫しているからに他なりません。この点において、単に形式的に報告・連絡・相談のルールを整備するだけでは、新たな戦略を生み出すことには繋がらないのです。

 さて、御社はしっかりと報告・連絡・相談がなされていますか?その結果、適切な戦略を打ち出せていますか?報告・連絡・相談は自社の社風を写しだす鏡です。単にルールや仕組みを整備するのではなく、社員一人ひとりとの信頼の関係性を深め、現実を直するする社風に育てて行きましょう。