会社を良くする「経営の教科書」
経営の教科書
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第54回 スタッフの成長を定期的に確認していますか?
(検証力 その3)



 会社(船)の船長である社長に「人事評価の仕組みがあるか?」についてお尋ねします。以下の選択肢から御社の現状に最も近い状態を選択してください。

Question スタッフの成長を測る為の「人事評価」の物差しとして、「定量的視点」と「定性的視点」の2つが用意されており、評価結果が社員にきちんとフィードバックされていますか?

 Level1)  人事評価は実施していない。

 Level2)  定量的視点のみの人事評価しか実施していない。

 Level3)  定量的視点、定性的視点での人事評価は行っているが、評価結果が社員にフィードバックされていない。

 Level4)  2つの視点で人事評価を行い、その結果が社員にフィードバックされている。

 人の評価をする為には「定量的視点」と「定性的視点」の2つの視点が必要です。「定量的視点」は、数値で表現され、人間の能力、技術、テクニックを評価します。具体的には売上高や処理速度、保有資格等が該当します。判断の基準が明確でブレにくいため、人事評価では「定量的視点」の評価が先行しがちです。

 しかし、重大でありながら見落とされがちなのが「定性的視点」です。定性的視点は、言葉によって表現され、人間の価値観、思考力、洞察力を評価します。「定量的視点」を支えているとも言えます。

 例えば、大切なムードメーカーなのに営業成績はいまいちの社員や、自らの成績を犠牲にして部下を育てている社員をイメージして下さい。その社員を「定量的視点」のみで評価すれば当然評価は低くならざるを得ません。一方で、自らの営業成績の為に、会社の信用を切り売りしている社員が、「定量的視点」では高い評価を受けるのです。

 では「定性的視点」の評価とは何か?代表的な例として1970年代からアメリカを中心に研究が続けられている「コンピテンシー」を題材として次回以降改めてお伝えしてまいります。

 2つの視点で評価された結果は、会社の未来にとって大変重要ですが、同時に社員にとっても大切です。面談等の機会を設けて社員一人ひとりに評価結果をフィードバックすることは、風通しの良い組織風土を創ることにも繋がることになるのです。

 さて、御社の評価には2つの視点が備わっていますか?何をもって社員を評価するのかを明確にすることは、我社の求め、育てたい人材像を明確にすることと同じです。つまり、人を評価する基準を明らかにしていくことは、未来の我社の製図をするようなものであり、社長の大切な仕事なのです。