会社を良くする「経営の教科書」
経営の教科書
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第53回 スタッフが常に新たな目標設定をしていますか?
(検証力 その2)



 会社(船)の船長である社長に「社内に自己差別化(現在と過去の自分の違いを数値や言葉で明確に表現すること)の仕組みがあるか?」についてお尋ねします。以下の選択肢から御社の現状に最も近い状態を選択してください。

Question スタッフが自らコミットし、組織と共有した目標を達成するプロセスにおいて自分自身が成長した点や、新たに浮き彫りになった課題を数値や言葉で確認し、そこから更に新たな目標を設定する仕組みが整備されていますか?

 Level1)  目標の達成の確認や見直しは全く実施していない。

 Level2)  確認や見直しの必要性は伝えているが仕組みとして整備されていない。

 Level3)  確認や見直しの仕組みはあるがフォローをしていない。

 Level4)  確認や見直しを行い、フォローまで実施している。

 「組織の成長」とは「その組織で働く社員の成長」であることは繰り返しお伝えしてきました。仮に、人が育っていないのに売上や利益が伸びているとすれば、会社の信用を切り売りしたり、アフター対応ができなかったりと、かえって問題を膨らませることになります。従って、人が育つ仕組み、人が育つ風土を育むことは経営者の重大な使命です。

 人を育てていくために必要な仕組みの一つが、目標に対する『現実直視』です。目標を掲げることは簡単ですが、その達成状況を厳しく確認していくことは簡単ではありません。私達は目の前の現実を、自分が見たいようにしか見ることができないからです。そこで必要になるのが現実を一緒に、多面的に確認する上司や仲間の存在です。

 過去の自分と現在の自分の違いを明確な言葉で特定することを「自己差別化」といいます。5年前、3年前の自分と比較して、現在の自分がどれほど成長したのかを言葉にするのは簡単なようでいて、意外に難しいものです。しかし、自らをモチベートし、新たな目標を明確にするためにこの「自己差別化」は欠かせません。

 何故なら、社員にとって仕事を通じて成長を確信できる時ほど嬉しいことはないからです。私の成長が顧客満足を実現するのであり、社会に貢献することにダイレクトにつながります。逆に、その確認ができないことは社員にとって大変つらいことなのです。

 さて、御社には社員が育つ仕組みが用意されていますか?目標の達成とは、より困難な目標の扉の前に立つことを意味しています。社長の大切な仕事は、常に困難な目標に向かって挑戦していく社員を育てることです。さっそく自社の目標達成への取り組みを見なおして下さい。