会社を良くする「経営の教科書」
経営の教科書
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第39回 仕事をする前提としての考え方(価値観)を共有する(思考力 その1)


 会社(船)の船長である社長に「会社の理念(仕事をする上で前提となる考え方)」についてお尋ねします。以下の選択肢から御社の現状に最も近い状態を選択してください。

Question 社長(あなた)は、全てのスタッフが、現場においてどのような考え方(理念・哲学・価値観)で仕事に取り組めばよいのかを明示していますか?

 Level1)  気づいた時に口頭では伝えているが、文章等で常に確認できる状態にはしていない。

 Level2)  考え方は文章にしているが、具体的仕事の現場に落としこむとどうなるかまでは言及したものに出来ていない。

 Level3)  現場の仕事に落とし込んで文章化しているが、読み合わせや振り返りをするといったことまでは取り組めていない。

 Level4)  現場レベルに落としこんだ考え方について、読み合わせや振り返りを実施し、それに対するアドバイス等を相互に行っている。

 ある実験データによると、人間の記憶の定着の度合いは“聞く”だけだと10%、“見る”と15%、“両方合わせる”と20%、“話し合う”と40%、“体験する”と80%、“教える”と90%になると言われます。

 話し合うレベルと、体験するレベルの間には数値的に見ても大きな壁があります。その壁を超える鍵は共感・共鳴・感動が伴うか否かです。体験は共感・共鳴・感動を生みます。何故なら、体験は単なる理解を超え、その本人を学んだことの当事者にするからです。

 口頭で伝えるだけで人が育てば経営は至って簡単です。文章化し教え伝えることで、その内容を現場レベルに落とし込み、更にその内容に基づいて振り返ことが可能となります。そのことで自らを経営の当事者へと進化・深化させる風土こそが本人の成長を促すのです。

 更に理念を画餅に終わらせないために大切なのは、リーダーが率先して理念から要求されている行動を具現化し、日々自らの行動を理念に照らして振り返ることです。それがそのまま理念浸透に繋がっていきます。

 さて、御社の現状のLevelはどの段階にあるでしょうか?明日から一つ上のレベルを目指した取り組みをスタートさせましょう!その決意をするのがリーダーであるあなたの大切な仕事なのだから。