税務調査の法的知識
税理士業界にフォーカスした“税務調査の法的知識”
一覧はこちら

第54回 調査手続きの違法性にどう対応するか?
(16/02/15)

 平成25年以降に実施されている税務調査から、税務調査の手続きが大きく改正されたわけですが、改正後の調査手続きに関する最新の裁決が出されました。

調査手続の違法は修正申告の効果に影響を及ぼさないと判断した事例」(平成27年3月26日公開裁決)

 この公開裁決における論点(の1つ)は、「調査手続きの違法性は、その調査で提出した修正申告と法的に連動する(無効になる)のか?」という点ですが、納税者が負けています。本裁決の中で、不服審判所は

「そもそも調査手続の違法は、それのみを理由として修正申告及び期限後申告の有効性に影響を及ぼすものではないと解されることから、たとえ調査手続に違法があったとしても、そのことのみで修正申告及び期限後申告が無効となることはない」

としています。この論点は以前から疑義があって、

違法な調査(手続き) → 処分が無効?

が連動するかは学説・判例ともに分かれています。簡単に言えば、ケースバイケースということになるでしょう。

 税務調査の手続きに違法性がある場合、更正されてから、その後に更正処分取消しの根拠としても、上記公開裁決事例のように現実的には納税者側が勝てる可能性は低いものと考えます。

 だからこそ、税務調査の中で手続きの違法性を税務署・調査官に問いただし、適正に処理・対応してもらうのが正しい税務調査対応といえるでしょう。