税務調査の法的知識
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第45回 法定監査とは何か?
(15/10/07)

 よく聞きなれない税務調査の一類型に「法定監査」なるものがあります(あくまでも国税が使う呼称であって、法律にはこのような名前は附されていません)。「調査」という名前ではなく「監査」なのですが、これも税務調査(の一種)となっています。

 「法定監査」は法律上、質問検査権の対象範囲となっています。

国税通則法第74条の2第1項第1号ロ
所得税法第225条第1項 (支払調書)に規定する調書、同法第226条第1項から第3項 まで(源泉徴収票)に規定する源泉徴収票又は同法第227条から228条の3の2まで(信託の計算書等)に規定する計算書若しくは調書を提出する義務がある者

 つまり、法定調書の提出(義務)者に対して、誤り・漏れなく法定調書を提出しているのかを確認するのが法定監査と呼ばれるものです。

 法定監査で心配になるのが、通常の税務調査への移行ですが、法定監査はあくまでも、所得や税額の誤りを探すものではなく、「更正決定等を目的として実施するものではありません」。法定調査の提出状況とその金額等の妥当性を確認するために行われるものです。

 法定監査から通常の税務調査に移行する場合には、法的には(通常の税務調査の)事前通知が行われますので、なし崩し的に移行することもありません(事前通知がない移行は手続き違反ということです)。

 法定監査は一般的に、本当の確認だけで終わることがほとんどなので、そこまで警戒する必要はないでしょう。