税務調査の法的知識
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第38回 調査官の守秘義務
(15/06/17)

 国税調査官は国家公務員であることと同時に、仕事柄納税者の機密・個人情報に触れる特殊性から、法律により2重で守秘義務が課せされています。

【国家公務員法による守秘義務】

国家公務員法第100条(秘密を守る義務)
職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。

国家公務員法第109条(罰則)
次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
十二 第百条第一項若しくは第二項又は第百六条の十二第一項の規定に違反して秘密を漏らした者

【国税職員に対する更なる守秘義務】

国税通則法第126条
国税に関する調査(不服申立てに係る事件の審理のための調査及び国税の犯則事件の調査を含む。)若しくは租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律(昭和44年法律第46号)の規定に基づいて行う情報の提供のための調査に関する事務又は国税の徴収に関する事務に従事している者又は従事していた者が、これらの事務に関して知ることのできた秘密を漏らし、又は盗用したときは、これを2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。


 国税通則法第126条は、平成22年の法改正で新設された条文で、調査官の守秘義務違反(秘密漏洩)に対する罰金刑の上限が100万円(改正前:30万円)に引き上げられた上、国税通則法に、国税の調査に関する事務に従事している職員(従事していた職員を含む。)の守秘義務違反に対する統一的な罰則規定(2年以下の懲役又は100万円以下の罰金)が設けられ、改正前の法人税法第163条の規定が承継(削除)されました。