税務調査の法的知識
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第37回 無予告調査の正しい対応方法
(15/06/02)

 本コラムの第6回「無予告調査の要件とは」において、無予告調査の法的要件について解説しています。

 無予告調査を受けたことがある方はご理解いただけるのですが、無予告調査は納税者側で何も事前準備ができないこともあり、また調査官側も通常の税務調査とは違い、帳簿等を精緻に確認するというより、現場で否認根拠となる証拠を見つけるというスタンスから、粗い調査になりがちで、トラブルが起こる大きな要因と考えられます。

 このことから、法的要件を満たしている場合であったとしても、無予告調査のそのまま受けることは、できる限り回避すべきなのです。

 その一方で、事前通知の有無にかかわらず、税務調査はあくまでも質問検査権の行使ですから、納税者には受忍義務があり、税務調査そのものを断ることはできません。具体的には、「質問検査権と受忍義務の関係」を参考にしてください。

 それでは、無予告調査にはどのように対応すべきなのでしょうか?

 税務調査には受忍義務があり、断ることはできないのですが、しかし、調査官が来たら「その時に」「その場で」調査を受けなければならない、という法的規定ではありません。

 ですから、無予告調査が来たら、下記のように対応すべきなのです。


【無予告調査の正しい対応方法】

(1)事業所内に入れない→「税理士に連絡しますのでそのままで少々お待ち下さい」
(2)今日は予定がある旨を伝える→「今日は今から仕事があるので無理なのです」
(3)次の調査予定を決める→「来週であれば○○日(●曜日)が大丈夫なのですが」

 このように対応すれば、あくまでも税務調査を断っているのではなく、「今(今日)は調査を受けることができない」ということで、無予告調査を回避することができるのです。

 税理士・会計事務所は、上記の対応方法を顧問先・関与先に指導し、実践してもらうよう周知しておくことをおすすめします。