税務調査の法的知識
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第31回 税務調査終了時の手続き(1)
(15/03/04)

 国税通則法の改正により、税務調査が終了する際の手続きが明文化されました。まず、第1項は「申告是認」を定めています。

国税通則法第74条の11(調査の終了の際の手続)
税務署長等は、国税に関する実地の調査を行った結果、更正決定等(第36条第1項(納税の告知)に規定する納税の告知(同項第2号に係るものに限る。)を含む。以下この条において同じ。)をすべきと認められない場合には、納税義務者(第74条の9第3項第1号(納税義務者に対する調査の事前通知等)に掲げる納税義務者をいう。以下この条において同じ。)であつて当該調査において質問検査等の相手方となった者に対し、その時点において更正決定等をすべきと認められない旨を書面により通知するものとする。

 国税通則法の改正前は、税務調査で誤りがなかった場合、是認通知書が出されるか出されないかは、税務署の任意(行政指導)でしたが、現在は書面による通知が法定化されています。

 この規定に合わせて、同条6項に下記の定めがあります。

 第1項の通知をした後又は第2項の調査の結果につき納税義務者から修正申告書若しくは期限後申告書の提出若しくは源泉徴収による所得税の納付があつた後若しくは更正決定等をした後においても、当該職員は、新たに得られた情報に照らし非違があると認めるときは、第74条の2から第74条の6まで(当該職員の質問検査権)の規定に基づき、当該通知を受け、又は修正申告書若しくは期限後申告書の提出若しくは源泉徴収による所得税の納付をし、若しくは更正決定等を受けた納税義務者に対し、質問検査等を行うことができる。

 過去に税務調査が行われ、申告是認等であった場合は、「新たに得られた情報に照らし非違があると認めるとき」でなければ、再度同じ年分・事業年度を対象にした税務調査はできない、ということです。

 この規定もあり、是認通知書を受け取り、保管しておくことが大事となりました。