税務調査の法的知識
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第28回 理由附記はどこまで拡大されたか?
(15/01/20)

 「理由附記の拡大」のとおり、国税通則法が改正され、課税庁からの処分についても行政手続法第8条と14条が適用になったのですが、ではこの範囲はどこまでなのでしょうか。

 まずは、行政手続法を確認してみましょう。

行政手続法第8条(理由の提示)
行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。(以下略)

行政手続法第14条(不利益処分の理由の提示)
行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。(以下略)

 この条文が適用になったことにより、「納税者に不利益な処分にはすべて」理由附記が必要となったわけです。

 改正前は、青色申告者であっても、加算税の賦課決定については理由附記がなされていません(法定化されていません)でしたが、改正後は加算税の賦課決定にも理由附記が必要となりました。

 理由附記の全体をまとめると、下記のとおりです。

【法改正前】
・青色申告者に対する更正=理由附記が必要(法人税法第130条、所得税法155条)
・上記以外はすべて、理由附記が不要

【改正後】
・青色申告者に対する更正=理由附記が必要(法人税法第130条、所得税法155条)
・白色申告者に対する更正=理由附記が必要(行政手続法第14条)
・加算税等の賦課決定=理由附記が必要(行政手続法第14条)
・他、申請関係が拒否された場合=理由附記が必要(行政手続法第8条)