税務調査の法的知識
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第20回 修正申告と更正の違い(2)
(14/09/19)

 税務調査に誤りがあった場合、実務上はほとんどのケースで修正申告を提出することになるのですが、これは「更正=税務署による処分」なので、何か悪いことでもしているかのような、漠然としたイメージからきていることもあります。

 実際のところ、更正は税務署による処分には間違いないのですが、更正をされたからといって、税務署から以後、不利益な取り扱いをされることなどありませんし、下記のように金額的負担はすべて同じです。


【修正申告と更正で同じ事項】
・本税は同額
・加算税も同額
・延滞税も同額

 修正申告と更正の違いは、1つしかありません。それは、

修正申告:不服申立てをすることができない
更正:不服申立てをすることができる

 修正申告はあくまでも、納税者が自ら提出するもの(国税通則法第19条)ですから、修正申告の内容に不満があっても、不服申立てをすることができません。

 しかし、更正は処分(国税通則法第24条)ですから、その内容に不満がある場合、不服申立てをすることができます。

国税通則法第75条(国税に関する処分についての不服申立て)
 国税に関する法律に基づく処分で次の各号に掲げるものに不服がある者は、当該各号に掲げる不服申立てをすることができる。

 これだけの違いしかない修正申告と更正ですから、安易に修正申告を提出することなく、税務調査における否認指摘に納得できない場合など、更正を選択することも検討してください。