税務調査の法的知識
税理士業界にフォーカスした“税務調査の法的知識”
一覧はこちら

第16回 税務調査かそうでないか(2)
(14/07/15)

 「税務調査に該当するのか」「税務調査に該当しないのか?」の区分を加算税の観点から解説しましょう。まず、ここでなぜ加算税が関係してくるのかというと、当初申告に誤りがあり、結果として修正申告をする場合であっても、加算税が課されるかどうかが違うからです。

税務調査 → 修正申告(勧奨) → 加算税が課される

税務調査ではない → (自主)修正申告 → 加算税が課されない

 自主的に修正申告をすれば加算税が課されないというのは、国税通則法第65条第5項が根拠条文となります。

 では、ここで問題です。当初申告を提出しましたが、2週間後に税務署から顧問税理士に電話がありました。

 「先生、提出いただいた顧問先の申告書なんですが・・・この部分って間違っていませんか?」

 こう言われて申告書の控えを見たところ、確かに間違っている・・・修正申告だ! この状況で提出した修正申告に加算税は課されるのでしょうか。

 確かに、税務署からの指摘で誤りに気付きました。これを自主修正と呼べるのでしょうか。また、税務署が電話で誤りの指摘をするという行為は、「質問検査権の行使=税務調査」なのでしょうか。

 下記通達は、税務調査に「該当しない」場合を列挙しているので注意して読んでください。

国税通則法第7章の2(国税の調査)関係通達の制定について(法令解釈通達)

1−2(「調査」に該当しない行為)
当該職員が行う行為であって、次に掲げる行為のように、特定の納税義務者の課税標準等又は税額等を認定する目的で行う行為に至らないものは、調査には該当しないことに留意する。また、これらの行為のみに起因して修正申告書若しくは期限後申告書の提出又は源泉徴収に係る所得税の自主納付があった場合には、当該修正申告書等の提出等は更正若しくは決定又は納税の告知があるべきことを予知してなされたものには当たらないことに留意する。

(1) 提出された納税申告書の自発的な見直しを要請する行為で、次に掲げるもの。
   提出された納税申告書に法令により添付すべきものとされている書類が添付されていない場合において、納税義務者に対して当該書類の自発的な提出を要請する行為。
   当該職員が保有している情報又は提出された納税申告書の検算その他の形式的な審査の結果に照らして、提出された納税申告書に計算誤り、転記誤り又は記載漏れ等があるのではないかと思料される場合において、納税義務者に対して自発的な見直しを要請した上で、必要に応じて修正申告書又は更正の請求書の自発的な提出を要請する行為。

(2) 提出された納税申告書の記載事項の審査の結果に照らして、当該記載事項につき税法の適用誤りがあるのではないかと思料される場合において、納税義務者に対して、適用誤りの有無を確認するために必要な基礎的情報の自発的な提供を要請した上で、必要に応じて修正申告書又は更正の請求書の自発的な提出を要請する行為。

(3) 納税申告書の提出がないため納税申告書の提出義務の有無を確認する必要がある場合において、当該義務があるのではないかと思料される者に対して、当該義務の有無を確認するために必要な基礎的情報(事業活動の有無等)の自発的な提供を要請した上で、必要に応じて納税申告書の自発的な提出を要請する行為。

(4) 当該職員が保有している情報又は提出された所得税徴収高計算書の記載事項の確認の結果に照らして、源泉徴収税額の納税額に過不足徴収額があるのではないかと思料される場合において、納税義務者に対して源泉徴収税額の自主納付等を要請する行為。

(5) 源泉徴収に係る所得税に関して源泉徴収義務の有無を確認する必要がある場合において、当該義務があるのではないかと思料される者に対して、当該義務の有無を確認するために必要な基礎的情報(源泉徴収の対象となる所得の支払の有無)の自発的な提供を要請した上で、必要に応じて源泉徴収税額の自主納付を要請する行為。

 本通達から判断すると、税務署からの誤りの指摘であったとしても、税務調査に該当しない限り、加算税は課せられないのです。だからこそ、どこまでの行為が「調査ではなく」どこから「調査なのか」区分することが大事なのです。