税務調査の法的知識
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第 8回 身分証明書の携帯義務
(14/04/07)

 税務調査が開始される初日、調査官の方から「身分証明書」の提示があるのが通常です。調査官が提示するのは、見開きの定期入れのようなもので、その両面に身分証明書が入っています。

 では、この「身分証明書」、何が根拠になっているのでしょうか。

国税通則法第74条の13(身分証明書の携帯等)
国税庁等又は税関の当該職員は、第七十四条の二から第七十四条の六まで(当該職員の質問検査権)の規定による質問、検査、提示若しくは提出の要求、閲覧の要求、採取、移動の禁止若しくは封かんの実施をする場合又は前条の職務を執行する場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

 つまり、この法律規定から、調査官は税務調査を実施する際には、身分証明書を携帯しなければならず、納税者もしくはその税務代理人である税理士から「身分証明書を見せてください」と言われれば、提示しなければならないというわけなのです。

 調査官が身分証明書を自ら提示しない場合、こちらから提示を求めても、携帯していないケースもあり得ます。公務員が公権力を行使するわけですから、警察官などと同じように、身分およびその権限を示す身分証明書を携帯していないというのは、相当に問題です。

 このようなケースは、上記法律から逸脱するものであり、明確に違法手続きの税務調査に該当するというわけです。

 税務調査が開始される段階で、きちんと調査官の身分証明書を確認してください。