税務調査の法的知識
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第 6回 無予告調査の要件とは
(14/03/10)

 平成24年以前に実施される税務調査においては、無予告調査の法定要件はありませんでした。つまり、無予告調査を行うかどうかは、課税調査の裁量に委ねられていたということです。しかし、国税通則法の改正・施行により、無予告調査の要件が法定されることになりました。

国税通則法第74条の10(事前通知を要しない場合)
前条第1項の規定にかかわらず、税務署長等が調査の相手方である同条第3項第一号に掲げる納税義務者の申告若しくは過去の調査結果の内容又はその営む事業内容に関する情報その他国税庁等若しくは税関が保有する情報に鑑み、違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれその他国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認める場合には、同条第1項の規定による通知を要しない。

 あくまでも、税務調査は事前通知があることを原則としていますが、上記条文の要件が法定化されたのです。

 無予告調査があった場合は、調査官に対し、「国税通則法第74条の10のどの要件に該当するのですか? 該当しないのであれば、行われた無予告調査は違法行為になります」と主張することができるというわけです。

 なお、この条文の解釈については、税務調査の手続きを定める通達である「国税通則法第7章の2(国税の調査)関係通達の制定について(法令解釈通達)」の4−7から4―10まで、例示を含めて細かく書かれていますので、そちらも合わせてお読みいただくことをおすすめします。