税務調査の法的知識
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第 3回 質問検査権と受忍義務の関係
(14/02/07)

 税務調査を範囲・権限を規定する法律は、国税通則法に規定されています(なお、平成24年以前は各個別税法に規定されていました)。

 具体的には、国税通則法第74条の2以降をみると、税務調査を実施する権限である「質問検査権」等が規定されているわけです。

 では、よく言われる「受忍義務」とはどこに規定されているのでしょうか。「受忍義務」とは法律用語ではないので、法律をいくら探しても見つけることはできません。

国税職員=質問検査権
←→ 納税者=罰則規定

という関係から、納税者には税務調査において、受忍義務があると「解されている」のです。

 具体的に法律をみてみましょう。

国税通則法第127条
 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。

二 第七十四条の二、第七十四条の三(第二項を除く。)、第七十四条の四(第三項を除く。)、第七十四条の五(第一号二、第二号二、第三号二及び第四号二を除く。)若しくは第七十四条の六(当該職員の質問検査権)の規定による当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは偽りの答弁をし、又はこれらの規定による検査、採取、移動の禁止若しくは封かんの実施を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

三 第七十四条の二から第七十四条の六までの規定による物件の提示又は提出の要求に対し、正当な理由がなくこれに応じず、又は偽りの記載しくは記録をした帳簿書類その他の物件(その写しを含む。)を提示し、若しくは提出した者

 つまり、税務調査を拒否したり、嘘をつけばこの罰則に抵触するということなのです。これらを総じて、一般的には税務調査の「受忍義務」と呼んでいます。