税務調査の法的知識
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第 2回 質問検査権とは何か?
(14/02/07)

 税務調査とは、国税職員に質問検査権を与え、はじめて成立するものです。では、質問検査権とは具体的に何でしょうか。

国税通則法第74条の2(当該職員の所得税等に関する調査に係る質問検査権)
 国税庁、国税局若しくは税務署(以下「国税庁等」という。)又は税関の当該職員(税関の当該職員にあっては、消費税に関する調査を行う場合に限る。)は、所得税、法人税又は消費税に関する調査について必要があるときは、次の各号に掲げる調査の区分に応じ、当該各号に定める者に質問し、その者の事業に関する帳簿書類その他の物件(税関の当該職員が行う調査にあっては、課税貨物(消費税法第二条第一項第十一号 (定義)に規定する課税貨物をいう。第四号イにおいて同じ。)又はその帳簿書類その他の物件とする。)を検査し、又は当該物件(その写しを含む。次条から第七十四条の六まで(当該職員の質問検査権)において同じ。)の提示若しくは提出を求めることができる。

 まず質問検査権とは、帳簿書類などの提示や提出を求めることができる権利だとわかります。

 また、ここでは帳簿書類に限定されておらず、「その他の物件」とあります。「その他の物件」がどの範囲なのかについては、解釈論であり、議論の余地はあると思いますが、税務調査の成り立ちから考えるに、下記と考えれば間違いないでしょう。

税務調査=納税者が自主的に申告した課税標準または税額等が正しいか確認すること
   ↓
その他の物件=課税標準または税額等の計算が正しいか確認するために必要なものすべて

 例えば、「その他の物件」に棚卸資産が含まれるのか考えてみると、棚卸金額によって課税標準(=所得金額)や税額が変わりますから、棚卸資産も税務調査の対象になると考えるべきなのです。