社会保険料コストセーブ<役員編>
 第1回 役員報酬を別科目で支給して節保険する方法

■中小同族企業の役員と会社は一心同体

 同族企業の経営者は、会社の借入金の担保に自宅を提供したり個人保証をするなど、個人と企業の区別なく一体となって事業に取り組まれているのが一般的です。今回の対策は、むしろその状況を上手に利用して社会保険料を引き下げる手法なのです。


■別科目支給の具体的事例

 役員報酬は当然ながら保険料を決める報酬月額の算定基礎となります。その他、原則として労働の対価として支払われるものについてはすべて算定基礎となります。しかし、逆に言えば労働の対価でないものについては、算定基礎には含まれず保険料が掛かりません。そこで、そのような労働の対価とならないような科目を活用して、保険料の削減策を検討します。

 一つは、社長所有の建物を会社に貸しているのであれば税務上適正な家賃を取っているはずです。しかしその適正な家賃というものには一定の範囲があると思われます。そこでその部分の調整が可能であるとすれば、役員報酬を減額して、その分家賃を増額します。家賃は不動産所得になりますが、社会保険料はかかりません。
 
 あるいは、法人に社長からの借り入れがある場合にも、会社は借入金の返済を増やし、その分役員報酬を減額するのです。借入金の返済は社長個人にとっては所得ではないため、税務面でも有利ですし社会保険料もかからず、まさに一挙両得となります。

 では、借り入れがない場合はどうすればよいでしょうか。その場合は役員報酬として支払うのではなく貸付にするのです。社長への貸付金については決算書の見栄えが悪くなるという問題がありますが、あくまでもできるだけ会社から資金流出をさせないための緊急避難的な対策になります。

 さらに、60歳以上の役員であれば、報酬を一定額以下にすることにより、支給停止されていた公的年金を受給できる可能性も出てくるため、より一層の手取り増加効果が見込めます。


【キーワード】節保険はより幅広い視点で検討する
通常、社会保険料の削減対策というと、社会保険制度という狭い範囲の中で検討することが一般的です。しかし、今回のような対策案は税務面や会社全体で資金流出を抑制するという視点を持つことで生まれたものです。このように節保険というものも、より幅広い視点で検討することがより重要といえます。


手取額を減らさずに、保険料を削減するには!






CHECK POINT
〔その他の効果〕 借入金の返済や貸付であれば、税金もかからずすべて手取りとなる。
60才以上の役員であれば、支給停止されていた公的年金を受給できる可能性がででくる。
〔注  意  点〕 適正な家賃は税務上問題とならない範囲で設定する。
役員報酬が高額な場合、効果がない場合がある。
〔法律ポイント〕 家賃や借入金の返済・貸付金は賃金ではないため、社会保険料の算定基礎とはならない。