事例7「取引先協力の評価方法」
金融検査マニュアル別冊の「事例7」に関しては、業績が急激に悪化したことから大幅なコストダウンを図るも財務内容や借入金の返済実績は悪化の一途ですが、今まで培ってきた販売ルートの強みを活かした新製品の販売で今後は収益改善が見込めることから「要注意先(要管理先)」と判断している事例です。 |
中小企業の場合、取り扱っている製品やサービスの優劣も重要ですが、販売力についても経営内容を判断する上では重要となります。販売力と言っても、優良な販売先を持っているだけではなく、販売面全般について協力関係にある主要な取引先があるか否かについても見極めています。
- 受注の頻度(安定・継続的)
- 受注してから納品するまでの期間の柔軟性
- 販売代金の支払い方法(手段・サイト)の柔軟性
以上の関係を築くには、取引先との信頼関係がしっかり構築されている事が重要です。経営者の人的関係で販路を拡大するケースも多々ありますが、最終的には扱っている商品やサービスの内容に対して満足していなければ、長期的取引は難しくなるものです。
業種や業態によっても
取引先の満足する要因は異なりますが、大きく分類すると以下の4項目となります。
- 価格面(単価、決済条件等)
- 品質面(機能や技術、精度等)
- 規模面(数量や期間等)
- 営業面(提案力、アフターサービス等)
主要取引先の動向変化を捉えることも重要な要素となりますが、上記要因面に不満があると取引先が離れる危険が生じますので定例的に取引先の動向を確認し、変化した場合はその要因を確認することが企業評価では重要とされています。
常日頃から、自社の考えや取引先の反応等を伝えることも取引関係を強化する上では必要となります。
事例のように、新しい商品が好評だということから、主要な販売先の協力により収益は改善するとの説明があったとしても、金融機関側では
「納品までの期間の柔軟性」「販売代金の支払い方法の優遇」「一定数量の継続的発注」の3要因が収益改善に貢献できるのか否か、今後の業績改善に貢献できるのか否か見極めることをポイントとしています。
日頃の面談時点で、販売先の取引量や協力度について説明するとともに、変化している場合はその要因に関しても知らせることも肝要です。