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“報連相”、組織で働いている皆さんであれば、恐らく誰もが耳にする言葉ですね。 書店のビジネス書コーナーに行けば、この“報連相”に関する本をいくつも見つけることができますし、教育研修のテーマとして打ち出すケースもよくある話です。 今回は、この“報連相”をテーマとして取り上げてみました。 つい最近の話ですが、土木建築関連の企業より「報連相研修を依頼したい」という話がありました。 「どういった経緯で、報連相研修をやろうという話になったんでしょう?」と質問すると、「そもそも特に国の土木関連事業などは、国、自分たちの会社、他の請負業者と関わる組織が多く、あらゆる局面において品質の高いコミュニケーションが求められており、意識をもってやっています。ただし、それでもちょっとした行き違いで大なり小なりのクレームが発生することもあるので、改めてその重要性を再認識できる場にしたいと思っています」といった答が返ってきました。 そもそも仕事柄、重要性に関しては十分わかっているはずの会社に、あらためて重要性を説いたところで、あまり効果は無さそうな気がしたので、「なぜ、その極めて当たり前のことができないのか、その原因を皆さんに考えてもらう研修にしましょう」と提案したところ、「通常の研修とは少し違うようだけど、面白そうだ」ということで、その依頼を受けることになりました。 さて、その報連相研修、議論する際は、1グループ5〜6人のメンバーで進めていきますが、たくさんのグループから出てきたのは、そもそも「会話する時間が少なすぎる」というものでした。 その背景には次のような話があります。 報告だろうが連絡だろうが相談だろうが、良いものは誰もが差ほど意識することをしなくても自然にされているものだけれども、悪いものであればあるほど滞りやすいということです。 例えば、悪い報告に関しては、「どうすれば良いのか、自分なりに検討、あるいは対処した上で報告しないとこちらも聞けないよ」と上司から指導を受けることになったり、、、自部門の役割ではないけど、このまま放っておくのはまずいということで他部門へ連絡しようとする悪い連絡は、「それよりも自分の部署でやるべきことに注力して下さいよ」と無視をされてみたり、、、「ちょっと質問させて下さい」と軽い気持ちで話した相談に対しては、そんなこと自分で考えろよ」と自分だけで考えさせられる。 上司と部下のタテの関係が、あるいは部署間のヨコの関係が、良好でなければないほど、悪い方に属する報連相は滞ってしまいがちになるのが実態なのでしょう。 そしてそれは、風通しの良い組織の風土によって、あるいは、個人対個人の信頼関係の構築度合いによって差が出るということで、「会話する時間が少なすぎる」という事実が最大の原因として浮かび上がってきたわけです。 確かに、普段あまり話をしていない関係性のなかで、悪い部類の報連相が滞ってしまうのは、わからない話ではありません。 そのように考えると、やはり「報連相を徹底する」のは、新入社員や若手社員に課せられるものではなく、上司に課せられる課題という理解をした方が良いように思います。 「報連相を徹底しましょう」などと、それが大きな目的であるかのように認識しているから、対応策を間違えてしまう、これは組織において起こりやすい勘違いです。 「ざっくばらんに何でも話し合える環境を作る」ことの方が、目的としては大切なものであり、「その環境が整っていれば報連相は徹底されている」それこそが本質でしょうね。 「知識もスキルも必要としない当たり前のことなのに、なぜかうまくできていない」そんなときには、その問題の本質にいかに切り込めるかが大きなカギになりますね。 |