コンサルティング情報 〜戦略コンサルティングレポート

第28回 グローバル戦略展開の落とし穴【2】

 今回は中野好純が担当させていただいております。

 私の普段のコンサルティング案件は、主に上場企業の大手製造業が多いのですが、成長戦略を固めている段階でグローバル市場への展開は例外なくメインテーマのひとつになっております。

 随分以前にアメリカで販売拠点を作っている話を執筆しましたが、この案件もこういったグローバル戦略の具体的な展開フェーズに発展している話です。


そもそもグローバル戦略は誰が青写真を描くのか?

 実はこの段階で大きな落とし穴がありそうです。

 どんな落とし穴かというと、

1、戦略を立案するのに十分な市場を正確に把握できないこと
2、戦略を立案しても実行できるリソースがいない

の2点に分類されるのではないでしょうか。


実際のコンサルティング案件では

 1、の市場性の把握は、現地のリサーチ会社をうまく活用するだけでなく、船井総研のコンサルタントやアナリストが現地に赴き、業界キーマンのインタビューを繰り返して、成長軌道に乗せる肝は何かを見つけるまで実施します。

 実際にはリサーチ会社のアウトプットだけでは戦略の肝を読み違えるケースが多いのです。

 公的なデータや表面的な観察事項では、現在の正確な情報は得られても、未来予想図は見えてきません。船井総研では複数の業界キーマンから未来予想図を明確に抽出したうえで、成長軌道に乗せるKFS(Key Factor for Success)を抽出することに付加価値を出すことを一番に意識しております。

 2、の戦略を展開する上でのリソースとなる人材に関しては、会社ごとに事情が違うようです。

 大企業であれば、すでに別事業でグローバル戦略を展開している可能性もありますので社内での人材調達はできるかもしれませんが、多くのプロジェクトでは初めてのケースで実際に戦略シナリオは間違っていなくても、実行レベルでいくつかのハードルが発生してしまいます。

 多くの会社は語学が堪能な方を現地スタッフとして赴任させたりしますが、これはもっと慎重に考えるべき問題です。

 語学力よりもグローバルでのビジネス文化に慣れているかのほうがよっぽど大切です。

 進出する国の商習慣を理解し、その国でのビジネスのスピード感が分かり、顧客が何を望んでいるかを肌感覚で分かることが戦略を実際に展開する上では重要なわけです。

 そういった視点からも、グローバル市場攻略を視野に入れている会社は早い段階で、現地企業との人材交流などを準備しておいたほうがいいかも知れません。