コンサルティング情報 〜戦略コンサルティングレポート

第18回 既成概念にとらわれない発想による業績回復

 こんにちは、船井総合研究所の小林昇太郎です。

 これまで数回に渡り「成果を向上させていくための企業戦略、事業戦略をどう策定していくことが望ましいのか」という課題をテーマにお伝えしてきました。

 この中で、変化の激しい市場環境においては企業を取り巻く外的・内的環境をどのように捉えて戦略を策定し、実行していくことが望ましいのかをお伝えしてきました。

 そして、それを実現していくためのツールとして、BSC(バランス・スコアカード)とTOC(Theory of Constratints:制約条件の理論)の思考プロセスといった手法を紹介させて頂きました。

 我々を取り巻く不確実で変化の激しい経営環境に企業は適応していかなければなりません。そのために、自社のコアバリューを最大限に発揮していくための戦略を組織のメンバーが、既存のビジネスモデルに囚われることなく創造していく必要があります。

 この大きなテーマを克服していくには、企業は従来の製品・サービスそのものの改善だけに目を向けるだけでは不十分です。再度「顧客視点」に立ち戻り、新たなビジネスチャンスを発見し、積極的な活動を継続していくことがマーケットを拡大していくうえでは不可欠です。

 例えば、工具メーカーであるH社は、切削ツールを使うユーザーのコストに占める切削工具費の比率が5%に満たない構造に着眼し、工具費を100円、200円値引きして提供することが本当にユーザーのメリットなのかという考えを持ちました。

 そこから、「安価な工具を使ってツール費用を削減する」よりは「高効率な工具を使うことで製造費を半減できる」ということを自社で検証し、それを顧客へ提案していくことで、単なる値引き販売ではく、より高付加価値製品の販売を大きく伸ばすことにより成果を出すことに成功したのです。

 このように、既成概念にとらわれない発想による自社の業績の回復を可能にするためのポイントは以下の3つに整理することができます。

 (1) 組織の中から創発的にビジネスチャンスを生み出していくためのインフラ形成と、組織活性化に向けた新たな仕組みの積極的導入

 (2)トップの強いコミットによる挑戦

 (3)ミドルによるイニシアティブの発揮

 上記3つのポイントにより、企業や事業をいかに持続的に成長させていくのかといった問題意識を各自が持ち、それを組織の中で共有しながら常にオープンに主張をぶつけ合うカルチャーを形成していくことが可能になっていきます。

 BSCやTOCの思考プロセスの手法は、このような組織活動を支援するツールとして効果を発揮します。

 BSC、TOCの思考プロセスの活用方法については、これまでも触れていますが、その具体的な使用方法に、ご興味、ご関心、ご質問等がございましたらお気軽にお問い合わせください。

 「不確実かつ高速に変化する経営環境における戦略策定と実行」を実現する手段としてBSC、TOCの思考プロセスを活用されてみてはいかがでしょうか。