コンサルティング情報 〜戦略コンサルティングレポート

第16回 自社独自で購買行動などに関する定点観測・調査を実施する

 今回担当させて頂きます、船井総合研究所戦略コンサルティング部の三山貴子です。どうぞよろしくお願い致します。

 これまで過去2回に渡り、業界構造の変化から、エンドユーザーに直接販売を実施しない素材・部材メーカーなどの川上・川中メーカーにも、エンドユーザーを見据えたマーケティング力・企画力を強化する必要性が強まっているお話をしてきました。

 その中で、具体的にマーケティング力・企画力を強化していくために以下の4つの手法を挙げ、前回は「自社でエンドユーザーモニターを組織化し、ニーズ調査する」という手法について説明してまいりました。


<エンドユーザーを見据えたマーケティング力・企画力の強化手法>

1.自社でエンドユーザーモニターを組織化し、ニーズ調査を実施する
2.自社独自でエンドユーザーの購買行動などに関する定点観測・調査を実施する
3. 外部の調査会社を利用し、展開事業に関するエンドユーザーの嗜好を確認するWEB調査などを実施する
4. 海外展開などしている場合には、海外からの情報を集めグローバルでのトレンドを自社・もしくは外部機関を利用して分析する。


 今回はその中の二つ目の「自社独自でエンドユーザーの購買行動などに関する定点観測・調査する」手法について詳しく述べて行きたいと思います。

 これはエンドユーザーに直接アプローチをして意見を吸い上げる座談会やWEBアンケートとは異なり、あくまでメーカー側が自分たちの視点からエンドユーザーの購買行動を分析していくことになります。

 読者の皆様の中には、実際に自社の製品がエンドユーザーに購買される場所まで出向いて、市場の動向を把握している方は多いと思います。

 しかし、それを社内で過去の動向・情報と照合し、今ではなく将来の市場予測にまで活かしていらっしゃるケースは少ないのではないでしょうか。

 この手法でのポイントは、いかに定点観測・調査を仕組み化して継続的に実施できるかにあります。

 実施した後の最終アウトプットで目指すべきは、自分たちの販売先であるお客様へのプレゼン資料にも盛り込むことができる内容レベルになります。

 ですから、観測・調査を実施した方の定性的な内容だけでなく、観測・調査を定量的にまとめ、時系列でも比較できるような定量的な内容にまで深堀できなければなりません。

 逆に言うと、そのレベルにまで落とし込まれていなければ、実際に定点観測・調査に基づいて新商品開発にまで発展させることは難しく、このようなマーケティング活動をしても、単なる活動で終わってしまいがちです。

 そこで、お客様にもプレゼンすること、実際の新商品開発にまで活かしていくことを視野に入れた調査設計が重要になってきます。

 調査対象のターゲットからその調査実施の場所を決定し、そして実際に確認していく調査項目をどのように設計していくかが肝になります。

 この調査項目については、ご担当者の方が集まって仮説をもちよりながら、ブラッシュアップしていくやり方で、つくり込むことが必要です。

 コンサルタントと一緒に作り込んでいくことも場合によっては得策かもしれません。

 そして調査活動を実際に実施し、商品開発にまで活かすサイクルを回しながらそれらの項目について見直しをかけていくことになります。