コンサルティング情報 〜戦略コンサルティングレポート

第9回 現場におけるトラブル・課題の予防措置

 今回は私、中野靖識が担当させていただきます。


【現場におけるトラブル・課題の予防措置について】

 現場の業務改善を進める場合には、事前に起きるであろうトラブルや想定される課題に対する予防措置をとることが必要です。

 実際の現場でよく見られるケースとしては、担当者が変わる度に、何年かのサイクルで同じ失敗を繰り返していることです。失敗は気持ちの良いものではありませんので、誰もが忘れたいものです。そのために、なぜ失敗したのかのルール化はされにくいものです。現場で発生するトラブルは、業務を理解している方や実践している方には、ある程度の事前予測ができるものなのです。

 ルール化をしていく上では、「こんなこはないだろう」と思うような項目も、あえてピックアップして文書化することから始めてみましょう。トラブル・課題抽出と同時に、その発生原因と考えられるものは文書化して整理しておくと、より対策立案が容易になります。

 一般的には「ありそうもないトラブル」でも、原因(条件と考えてもよい)となるものが満たされれば発生しますので、あらかじめ、発生原因を認識しておくことが予防の第一歩です。

 ある程度のトラブル・課題抽出が終わった段階で、それらをテーマ別に整理していきます。この時点で、抜けているテーマや漏れているテーマを再検討します。同時に、課題の多いテーマが、業務上のどのプロセスに該当するのかを確認します。

 これによって、常時測定(進捗管理)をすべき要素を抽出し、集中してマネジメントすべきポイントを事前に確認することができます。従って、この作業は業務ごとのプロセス責任者をディスカッションメンバーに参加させることが必要になります。


【アクションプランとしての対策立案】

 テーマ分類が終了した後に、想定される具体的対策を立案しておくことになります。基本的には、「1)どのように予防するか」と「2)発生した場合にはどうやって処置するか」の二つの具体的アクションを事前検討することになります。

 1)に関しては、いかに元を断つことができるかが予防措置の基本です。常に、トラブルの発生原因と真の発生理由―なぜそれが起きるのかーを考える所からスタートして下さい。

 2)に関しては、実際に処置にかかる工数やその処置によってトラブルダメージがどの程度回復できるか等も明らかにしておくことが必要になります。発生しないようにするのが予防措置ですが、最悪の場合にどうやって処置すべきかを事前検討しておくと、いざという時の対策ストックになります。対策のストックを準備することは無駄な作業のように見えますが、非常時のトラブル対応速度をあげる手段としては有効です。

 立案した対策を現場レベルでうまく実行していくためには、コミュニケーションそのもののマネジメントが欠かせません。業務全体の進捗状況を情報としてフィードバックし、変更点、改定ポイントなどを指示し、レビューしていくためには、文書による伝達が必要になります。これらをマネジメントしていく上では、いつ、どのような情報を、何のために、どのような形式で伝達するのかを、明らかにしておく必要があります。

 期間が限定されているプロジェクト型業務や、特定組織の業務改善の場合には、業務全体のボリューム、期間に応じたコミュニケーションを計画し、定期的な見直しによる継続的改善が実施されることがポイントになります。

 コミュニケーションをマネジメントしていく上では、以下のことを意識しておくとよいでしょう。

(1)進捗レビューのタイミング
(2)問題解決会議
(3)誰が、誰にどのような伝達を実施するか
(4)ルートを限定するためにプロセスごとの窓口責任者を決める
(5)フィードバック方法及びその受け入れ態勢

 コミュニケーションのマネジメントは、業務全体の流れをスムーズにする役割を担っています。実際の業務に置き換えて、どのような構造になっているのかを確認してみるのも面白いと思います。