コンサルティング情報 〜戦略コンサルティングレポート

第4回 「書く」ことで情報を整理する

 こんにちは、船井総合研究所の清水準です。

 今回は「書く」というテーマでお話させていただきます。

 皆さんは普段、自分の考えを整理する時にどのような方法をとっているでしょうか。紙に書く、パソコンで作成するなど方法はさまざまありますが、考えやアイデアをきちんと”カタチ”にしておくことは多くの点でとても有効です。

 メリットはさまざまありますが、今回は次の2点を挙げたいと思います。

 1.考えを再認識できる
 2.加工できる


 それぞれについて詳細にみていきましょう。


1.考えを再認識できる

 自分の頭の中だけで考えていたことが、書くだけで不思議にすんなり理解できたという経験をしたことがあるのではないでしょうか。

会議の例:

 私は仕事柄お客様先で、業務の課題や改善策を議論するような会議に参加させていただきます。重要な会議ですから議事録をとります。当然ながら参加者は業務に精通した人たちばかりですから、意見や重要な発言がどんどん出てきます。

 しかし、いざ最後のまとめの段階で要点をまとめてくださいとお願いすると、的を射ない答えが返ってくることが多いのに驚かされます。

 いろいろな部署から人が集まった会議に多く見られる現象です。

 会議では様々な視点から意見が出されます。全く関係ないように聞こえる意見が、実は大きな影響を及ぼしている可能性もあります。

 色々な切り口からの、しかも非常に多くの発言内容を自分の頭の中だけで整理し要点を絞り込むには限界があります。

 そういう場合には、議事録を作成している方に意見を求めてみることをお勧めします。たとえ入社数年の若手社員でも、鋭い切り口から意見を言う場面が多く見られます。議事録というのは、ただ単に発言内容を記録するものではなく、発言内容を分類し、要点を考えながら作成しなければなりません。

 議事録という”カタチ”にすることを通して、様々な意見の交通整理を行い全体像を把握することができるという例です。


2.加工できる

 1では、頭の中の考えを整理することについて説明しましたが、次に整理した内容をさらに高めていくことについて考えてみましょう。

業務改善の例:

 ある会社では、特定業務の時間が非常に長く、納期に影響を及ぼしているという課題がありました。

 これにより顧客からの受注の電話を受けてから納期までに非常に時間がかかり苦情が多いとのことでした。

 そこで、次のことを実行することとしました。

 まず、当該業務を大きく8つの手順に分け、順番に並べます。更に各業務を3〜5つの詳細な手順に分解し、その詳細な手順の内容を記述した「業務フロー」の紙を一枚作成しました。

 次に、同じ紙の上部に「どうすれば時間を短縮できるか?」と大きな文字で書き、それを人がよく集まる場所(社員出入り口、食堂、喫煙ルームなど)に張っておきました。

 さらに、自由に意見を書き込んでもらえるように余白を多くとり、ペンも用意しました。

 数日すると、まず誰かが一つのアイデアを書き込みました。

 「手順3のステップ3はPC操作で短縮できます」

 さらに、それを受けてまた別の誰かが書き込みます。

 「PC操作の活用よりも、そもそもステップ3は不要だと思います」などなど。

 様々な意見が書き込まれたものを更に整理し、また張って書き込んでもらうということを繰り返しました。

 こうした内容を取り入れ実行した結果、業務時間が当初の3分の2まで圧縮され納期への対応がスムーズにいくようになりました。

 以上のような業務改善策の実行を口頭だけで行えたでしょうか。

 多くの人が紙を見ることが発端となり、最初のアイデアにどんどん手を加え、情報を加工し広げていくことで大きな成果を挙げた例です。

 書くことで情報を整理し、さらにいろいろな意見を取り入れ加工することができます。

 今回のテーマをきっかけとして、皆様の日常の業務の中でも「書く」ことを最初のステップにしてみてはいかがでしょうか。まずは”カタチ”にしてみることが、より大きな成果を生み出すことでしょう。