コンサルティング情報 〜戦略コンサルティングレポート

第1回 グローバル戦略策定

 今回から新たに連載に参加させていただきます、中野好純です。今回はグローバル戦略策定についてお話したいと思います。

 戦略コンサルティング部として、新しいクライアント企業の事業戦略策定をお手伝いすることが普段の業務の中心になっております。よくクライアント企業から質問されるのは「船井総研さんは国内だけ? 海外もやれるの?」といった内容です。もちろん答えはYESです。そもそも、事業戦略を国内、海外と分割して考えること自体に無理があると感じています。

 私ごとで恐縮ですが、船井総研に入社する前は(随分以前ですが)米国に本社のある、世界中のほとんどの人が名前を聞いたことのある日用雑貨メーカーで、新製品の市場導入プロジェクトを担当しておりました。20代のころからビジネスをグローバル視点で考えることが、当たり前になっておりましたので、戦略コンサルタントとして、クライアント企業に入り込むと、どうしても国内戦略の延長上でしかグローバル戦略を考えていないことに違和感を感じております。

 特に私が担当しているコンサルティングテーマは、事業ドメインごとの中長期の成長シナリオを策定し、それを具体的に組織のアクションプランに落とすことです。製造業の事業戦略とはバリューチェーン(1.マーケティングリサーチ⇒2.企画開発⇒3.製造⇒4.ロジスティクス⇒5.販売)ごとに整合性の取れたシナリオを策定することが肝になっています。成長が鈍化してしまうパターンで最も大きい要因は、3.の製造において品質的な優位性を過信してしまったり、5.の顧客に対する販売基盤の上にあぐらをかいてしまったりして、新しい市場を創造することが立ち遅れてしまうことです。これはグローバル戦略に関しては顕著にいえることです。

 特に多くの企業は、グローバル視点で魅力的な市場があることを漠然と分かっていても、それに対して着実にアクションを起こすことが遅れているような気がしています。クライアントとの戦略策定ディスカッションを通してグローバル戦略の立ち遅れ要因を下記のように整理することができました。

1. 顕在化されたグローバル市場を認識できていない。また認識するための調査手法が不明確なままである

2.グローバルビジネスを推進するリソース(実行責任者)が社内にいない

3.グローバル戦略を具体的に牽引できる経営幹部が不在である

 グローバルで勝負できる商材を持ちながら、ビジネスを展開しきれない企業の多くは上記のいずれにもあてはまるのではないでしょうか。ではどうすればいいのでしょうか。

 まずトップマネジメントはグローバル市場へのビジネス展開を具体的なビジョンとして掲げてほしいと思います。次にそのビジョンにあわせて、まず何をやって、次に何をやる、といったプロセスを明示してほしいと思います。グローバルビジネスのプロセスを策定する時点で社内プロジェクトを立ち上げることが必要になるでしょう。

 具体的なグローバル戦略策定プロジェクトに関しては次回詳細にお話します。