コンサルティング情報

第18回 会計事務所の分業化

 今回は、「日本の中小企業を元気にするためには、会計事務所・税理士事務所が元気にならなければならない」という信念のもと、日々のコンサルティングを行なっている、竹内実門が担当させていただきます。

 現場に近いコンサルティング情報や、いくつかの業種に特化した情報をお届けするこの「現場コンサルタントの生の声」ですが、今回は、『会計事務所の分業化』ついてお話ししようと思います。

 会計事務所・税理士事務所は、クライアント別に担当制を敷いて業務に当たっています。この制度は、顧客との親密性を高めるという大きなメリットがありますが、全てがその担当者に依存するというデメリットも併せて持ち合わせています。

 例を挙げて説明しましょう。

 会計事務所・税理士事務所の場合、年末から年度末にかけて、「年末調整業務」「確定申告」「12月決算業務」と業務が集中します。この時期になると、事務所の冷蔵庫に「リポ○○○D」が常備されるところも珍しくありません。それくらいハード業務が続くのです。

 そんなときに、風邪や体調不良で担当者が不在になるということもかなりの確率で想定されます(実際に起こっています)。特に確定申告業務では、資料の収集、状況の確認、記帳代行、申告書作成・・・と一人が十数件以上の担当をこなしています。毎月の顧問業務であれば、少々の遅れは仕方ない部分もありますが(本当はダメですけど)、確定申告の場合は期日が決まっているものです。

 つまり、担当者しか業務の状況が分かっていないケースがほとんどで、担当者に何かあった場合は、大きな問題になってしまいます。

 さらに、もうひとつの弊害として、「クレーム」があります。契約破棄のような大きなクレームは、直接所長なり、事務所に届きますが、そこまではいかないけれど、ささやかな「クレーム」が、事務所まで届かないことが多いのです。それが積もり積もって、大きなクレームに・・・なんてことも珍しくはありません。

 そこで、「分業化」です。

 顧客の状況を把握する人、必要な資料を集める人、記帳代行を行なう人、申告書を作成する人、お客様のところで説明する人・・・など、「確定申告」の業務プロセスを分解して、分業化していくのです。

 そのようにすることにより、
  1)個人に依存しなくなり
  2)分業化による生産性の向上(10倍以上の生産性は実証済み)
  3)リスク分散
  4)CSの向上
に繋がります。

 顧客からすると、今まで担当者一人だったのが、担当者がニ〜三人に増えることになり、「手厚くやってくれているな!」と感じて頂けます。また、クレームも事務所として吸い上げることが可能となります。

 一般の企業では、「分業化」というのは当たり前のキーワードですが、まだまだ会計事務所・税理士事務所の業界では浸透しているとは言えません。

 また、船井総研では、この全体のプロセスの「記帳代行」を中国でアウトソーシングしています(2006年9月12日の日経産業新聞25面、我が社の価格戦略のコーナーでも取り上げられました)。こうすることにより、会計事務所・税理士事務所本来の業務効率を上げるだけではなく、空いた時間で、より付加価値の高いサービスの提供を行なう仕組みづくりを支援しております。

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