コンサルティング情報

第8回 「決算業務」と「決算の診断」

 今回は、「日本の中小企業を元気にするためには、会計事務所・税理士事務所が元気にならなければならない」という信念のもと、日々のコンサルティングを行なっている、竹内実門が担当させていただきます。

 今回は会計事務所の仕事の中でもかなり重要な位置を占める「決算業務」について、お話させていただきたいと思います。

 「決算」を、この1年間の経営の結果として捉え、次の一年につなげていく...このあたり前の業務なのですが、会計事務所における「決算」の位置づけは少々異なります。多くの会計事務所は決算料として、毎月の顧問料とは別に○ヵ月分として報酬を得ています。その見返りに何をしてくれるかというと、「決算書を作り税務申告をする」というのがベースです。

 そもそも「決算書」は何のために作るのでしょうか? 多くの経営者・会計事務所は、

 1)税務署に提出するため
 2)銀行に提出するため

の二つが主な目的であると認識しています。となると、決算書を作るために多額の決算料なるものを払っている...ということになります。少し考えてみてください。もしこれだけだったら、決算料って高くありませんか?

 毎月顧問料を払って月次処理は行なっています。単純に12ヶ月分合わせるだけじゃないの?! という声が聞こえてきそうです。もちろんそれだけではありませんが、決算料3か月分〜となると、少々割高感を感じます。もし仮に「決算書を作り税務申告をする」だけなら、決算料は払っても1ヶ月分くらいなものではないでしょうか?

 でも、心ある優れた会計事務所・税理士事務所は違います。決算の三ヶ月ほど前になると、決算予測を行い、納税予定額を算出し、決算対策の案をいくつか提示して、クライアントである社長さんと検討を重ねます。その中で、最も効果的な決算対策を選択し、来季に向けての方針が固まっていきます。さらに、優良な事務所になると、様々な角度からこの1年間を振り返り、「決算の診断」を実施して、来季に向けた具体的な経営指針を検討してくれます。

 「決算の診断」について少し触れておきます。「決算の診断」とは、前期との比較、同業他社との比較が出来るように経営の成績を点数化(100点満点)していきます。経営を6つの要素(収益性・生産性・資金性・安全性・健全性・成長性)に分けてそれぞれ分析し、総合評価として点数化していきます。昨年との比較に加え、業界でのポジションも分かります。さらに、「銀行の見方はこうですよ!」と教えてくれます。

 また、今期の実績をもとに、必要な利益を確保するための来期計画の作成など、経営者に必要な経営計画のベースを作成することも可能です。年に一度の決算で、一年間を振り返ることは非常に重要です。さらにその結果を踏まえて、未来につながる対策を立てることで、「決算」の持つ意味は大きく変わっていくのではないでしょうか?

 このような様々な情報を数十ページに渡り、事細かにレポートしてくれます。これが「決算の診断」です。単なる会計事務所からの一方的な情報提供ではなく、経営者と一緒に課題を見出し、解決策を検討していく「決算業務」というのが、これからの主流になっていくでしょう。

 ただ「決算書」を作る事務所と、「決算対策」「決算の診断」をしてくれる事務所...どちらを選ぶかは社長次第です。