コンサルティング情報

第7回 商談中に人間関係を創る方法

 今回は私、桜井淳が担当させていただきます。

 現場に近いコンサルティング情報や、いくつかの業種に特化した情報をお届けするこの「現場コンサルタントの生の声」ですが、今回は、私が中心にお手伝いさせていただいている「社会保険労務士事務所」についての情報をお届けします。

 社労士事務所の先生の営業に同行していてよく遭遇するのは、簡単な雑談はするものの、業務内容の説明を始めたら、商談中、終始業務内容の説明をして終了というケースです。

 なんだか業務案内書を言葉にして聞かされているようなものです。そこには、受注において非常に重要な「人間関係」、つまり商談における「人」と「人」という部分が抜け落ちています。要は、業務の案内に終始していれば、人間関係を築くことができないわけです。「とは言っても、そう簡単に人間関係なんて築けるもんじゃないよ、桜井さん」という風によく言われます。そこで今回は、よく社労士事務所の先生にもお話をしている、商談において短時間で人間関係を創る方法を簡単にお話します。

 人間関係を構築するうえで重要なことは、「相手がどんな人なのか?どんなスタンスでビジネスに取り組んでもらえるのだろう?この仕事を任せて大丈夫だろうか?」という相手の疑問を解消することです。よって、次の2つの話を商談中の会話に入れ込んでいくのです。

1.子供の頃の両親や家族との思い出深い出来事と、それに対する自分の感情
2.その過去の経験が現在の仕事や仕事へのスタンスにどう影響しているのか

 例えば、船井総研のコンサルタントでこのような話をする者がいます。私の親父はデザイン会社の社長をやっていました。やっていましたと言いますのは、現在はもう倒産してしまってないからなんです。小学校に入学した頃は、親父はまだデザイン会社に勤めていました。デザインのセンスは身内の話で恐縮ですが、優れていたと思います。小学校低学年の頃に住んでいた地域のゴミ収集車のシンボルマークは、うちの親父が創ったものでしたし、親父の描いた秋の全国防災キャンペーンのポスターが街に張り巡らされたこともありました。学校でも、鼻高々でしたよ。親父がサラリーマンだった頃は、仕事がうまくいっていたこともあり、かなりの家族団欒がありましたね。親父やお袋、兄弟3人で、週末の休みごとにハイキングに行ったり、家族の誕生日、クリスマス、豆まき、ひな祭りも必ずやってましたし、海水浴などなど、小旅行もしょっちゅう行ってました。本当に楽しかったですね。

 それが、親父が経営者になった途端に一変しました。親父にはデザインのセンスはあったものの、なにぶん経営センスがなかった。資金のやり繰りがうまく行かず、最初貸してくれていた真っ当なところは貸してくれなくなる。そのうち裏金融にどっぷりはまってしまい、結果的には倒産・・・。自宅はローンも払い終えていたのに、取り上げられてしまい、家族5人が4.5畳+6畳の部屋に逃げるように引っ越しました。今でこそ、法律の縛りがあって少し大きな騒ぎにできないんでしょうけど、当時のヤクザはすごかったですね。夜中中ドア叩きますもんね。「金返せ、泥棒」って。親父は一人っ子でのんびりしたタイプだったからか、そんな状況もなんてことなかったみたいなのですが、お袋が繊細なタイプで、ちょっとおかしくなりましたし、2人の弟は学校に行かなくなるというような状況になってました。

 そんな時、私は何をしていたかと言いますと、既に家を出て一人暮らしをしながら、食品メーカーで営業やってたんですね。実は、阪神大震災の時、震度7のところに住んでまして、家の前は焼け野原になるし、友人はたくさん亡くなるしということを経験したんですけど、自分自身も3、4日何も食べるものがない、何も飲むものがない、ということを経験したんです。それで、食品メーカー・・・安易でしょう。まあでも、営業として楽しくやってましたし、実績も結構良かったんで、特に不満もなかったんです。しかし、たまに家に帰ってみると、倒産して逃げた状況からまったく変化がない・・・。社長がいかに大変か、会社だけでなく、家庭にまでリスクしょって会社を経営しているということを、強く認識させられましたね。

 そこで考えたのが、親父にデザインセンスがあったように、技術は優れたものを持っているけど、経営センスがなくて困っている会社って、いっぱいあるんじゃないか・・・。今さら親父の会社を救うことはできないけど、親父の会社を救えなかった分、そういう人たちの会社を手助けしたい、そう思ってコンサルティング会社への転職を志望するようになったんです。そうこうしているうちに、船井総研という会社がありとあらゆる分野で企業を支援しているという情報を仕入れました。「これだ」と思いましたね。あらゆる分野でやっているということは、入ってしまえばあらゆるノウハウを手に入れられる、そしてそのノウハウ情報を使って、経営者の手助けができると。入社してみると、数百人のコンサルタントが本当にありとあらゆる分野で企業を支援していることに、びっくりさせられました。本当にこんな分野まで? と思うようなところまで入っていっているんですよね。

 ですから社長、もし社長が「何か困ったな」「どうしたらいいかな」と思うことがありましたら、何でも私に相談ください。あ、今、「君じゃ無理だよ」って思いませんでした? そりゃあそうですよ。私にはそんな何でもやれるほどの能力はありません。でも、私の後ろには数百人の専門家がいるんです。しかも、カバーできない分野がない。ですから社長が私に相談いただければ、それを解決できるのに最も適した専門家を私が社内から連れてきます。また、社長の問題・悩みを解決するのに、それでは足りないと感じるときには、うちのネットワークを使って、社外からでも最適な人間を連れてきます。だから今後は何でも私に相談してください。

 上記のような内容を、まとめて一度に話せることはないかもしれません。よって、このような内容を切り分け、少しずつお話していく必要があります。とはいえ、商談中は業務の説明に集中してしまい、なかなか話せないのも事実です。

 そのような方は、このような内容のものを自分で作成し(文章化し)、常に見ることができるように手元に置き、定期的に目を通すことをオススメします。これにより、話したい内容が常に意識でき、当り前のように商談の中で話せるようになります。ぜひ、お試し下さい。