コンサルティング情報

第4回 会計事務所・税理士事務所選びのコツ(2)

 今回は、「日本の中小企業を元気にするためには、会計事務所・税理士事務所が元気にならなければならない」という信念のもと、日々のコンサルティングを行なっている、竹内実門が担当させていただきます。

 現場に近いコンサルティング情報や、いくつかの業種に特化した情報をお届けするこの「現場コンサルタントの生の声」ですが、前回の私の担当に引き続き、「会計事務所・税理士事務所選びのコツ」についてお話ししたいと思います。


■第一のコツ:「経営」に役立つアドバイスをしてくれる事務所を選ぶ

 会計事務所・税理士事務所の毎月の業務は、顧問先(皆様)の銀行帳・売掛帳・買掛帳・手形帳・現金出納帳・領収書などをもとに月次の試算表を作るのが基本業務です。その毎月の積み重ねが年に一度の決算書になりますので、月次の処理というのが事務所にとっての基幹業務ということになります。

 もし、試算表を出すだけの業務であれば、月額1万円を切る料金で行なってくれる会社がたくさんあります(記帳代行専門業者)。しかし、多くの事務所では顧問料と称して、月額3万円・5万円といった料金設定をしています。つまり、本来は記帳代行(試算表を作る)に加えて「付加価値」を提供する料金設定になっているのです。その「付加価値」の中身は、税務・会計・資金繰り・経営などに対するアドバイスや情報提供ということになります。このような「付加価値」を十分に提供してくれる事務所でないと、皆様の顧問料は「かなり多く支払っている」ことになります。

 「経営」に役立つアドバイスを行なうためには、「会計処理のスピードが速い」(会計処理の即時性)、「接触頻度が多い」、試算表の説明を分かり易く行い、かつ説明した中身を文書化してくれる…といった対応が前提となります。その上で皆様の経営に役立つ「アドバイス」「情報」を提供してくれる事務所は、皆様にとって不可欠な存在となるでしょう。


■第二のコツ: 自分の商売のことを良く知っている(もしくは知ろうとしている)事務所を選ぶ

 タイトルを見ると「?」と思われるかと思います。皆様から「会計事務所・税理士事務所が自分の会社のことを良く知っているのは当たり前だろう!」という声が聞こえてきそうです。しかし、ほとんどの会計事務所・税理士事務所は顧問先(皆様)の会社について知らないことが案外多いのです。例えば皆様の「お客様」のこと。「どういう人たち(企業)を相手に商売をしているか?」ということを知っている事務所はそう多くありません。

 ためしに、「お客さんを紹介して!」と頼んでみてください。そのときに「社長、どういう人を紹介すればいいですか?」と聞いてくれるならかなり優良な事務所であると考えられます。逆に、「守秘義務があるのでご紹介できません」というような「言い訳」をするようでしたら、要注意です。これには二つ理由があり、「どういうお客さんを紹介したらいいか分からない」もしくは、「そんなことは会計事務所・税理士事務所の仕事じゃないと考えている」のどちらかです。

 本当に顧問先(皆様)のことを心配し、常に「どうしたら役に立てるか」を考えている事務所であれば、「こういう人がいるのですが、社長一度会ってみませんか?」と、こちらが何も頼まなくても「マッチング」させてくれるはずです。


■第三のコツ:事務所の経営内容を明らかにしている事務所

 会計事務所・税理士事務は比較的小規模な経営体が多く、事務所の経営(マーケティングやマネジメント)を案外いい加減に行なっているところも少なくありません。もちろん中には皆様の経営の見本となるような素晴らしい経営をおこなっているところもあります。近頃では、いくつかの優良な事務所では、自分の事務所の経営方針や数値計画を明記した事業計画を顧問先に配ることを行なっています。これは、「顧問先の企業にアドバイスをするためには、まず自分の事務所の経営をきっちりと行なおう」とする先進的な取り組みです。

 しかし、多くの事務所は明確な「評価制度」や「販売促進手法」などの経営戦略を有しておりません。名刺に「ITコーディネーター」という肩書きが記されていても、「事務所のホームページがない」「インターネット環境も整っていない」というところさえあります。

 経営のアドバイスを行なうときに、最も説得力があるのは、「現場」「現物」「現実」といった生の情報であり、これらをもとにした支援を行なっている事務所は、必ずといっていいほど自分の事務所でまず試してみて、「成功事例」を検証してから皆様に対して提案しています。事務所の経営を明らかにし、自ら体験した上でさまざまなアドバイスをしてくれる事務所は、心強いパートナーとなるでしょう。