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IFRS・米国基準でも「のれんの償却」を復活させるべき
(17/3/6)

 日本経済団体連合会(以下、経団連)の金融・資本市場委員会 企業会計部会は2月20日、「のれんの会計処理に関するアンケート結果の整理」を公表した。これは経団連が会員企業に対して、「のれんを償却しない(減損のみ)」IFRS・米国基準でも「のれんの償却」を復活させるべきかどうかについてアンケートを行った結果を取りまとめたもの(回答は31社)。

 これによると、IFRS適用(予定)企業・米国基準適用企業を含め、ほとんどの企業(94%)がのれんの償却を支持していることが分かった。減損のみを支持している企業は6%に過ぎない。

 「のれんの償却」を支持する理由としては、次の点の回答があった。

  • ・M&A後の適切な業績把握を可能にする。
  • ・企業経営を安定させ、企業経営の適切な規律付けを行うことができる。
  • ・のれんの経年での減価を財務諸表に適切に反映することができ、自己創設のれんの計上を回避できる。
  • ・より適切なタイミング(投資の失敗時点)で減損を認識することができ、投資の成否の判断にも有用。

 一方、「減損のみ」を主張する理由としては、「のれんの消費パターンの見積りが難しい」などの意見があった。

 なお、日本基準における実務の状況として、のれんの金額的重要性に基づき、「5千万円未満→即時償却」「5千万円〜5億円未満→5年均等償却」「5億円以上→中期計画等から回収期間を算定」といった社内規程を設けている企業があったことは興味深い。日本基準採用企業では、是非参考にしたいところだ。


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