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東証、2015年度従業員持株会状況調査結果を公表
(16/10/13)

 東京証券取引所はこのほど、「2015年度従業員持株会状況調査」を公表した。これは2016年3月末現在の東京証券取引所上場内国会社3,508社のうち、大和証券、SMBC 日興証券、野村證券、みずほ証券及び三菱UFJモルガン・スタンレー証券の5社のいずれかと事務委託契約を締結している従業員持株制度を有する3,123社の持株会状況を調査した結果を取りまとめたもの。

 これによると、調査対象会社3,123社(前年度比33社増加)の従業員持株会が保有する株式の時価総額(株式保有金額)は、前年度末比5,367億円(マイナス10.3%)減少して4兆6,777億円となったことがわかった。

 その間、TOPIXは12.7%下落している(2015年3月末:1,543.11円→2016年3月末:1,347.2円)ものの、持株会加入者数が241.7万人から262.0万人に増加(20.3万人増)したこともあり、時価総額ベースでのマイナス率はTOPIXの下落幅より少なくなった。なお、従業員持株会の株式保有比率は前年度と変わらず0.94%であった。全株式の概ね1%を従業員持株会が握っている状況だ。

 また、従業員持株制度を有する会社の96.7%で奨励金(会社から従業員持株会の加入者に対し拠出額に応じて支給される額(買付手数料や事務委託手数料に対する補助を除く)を支給していることがわかった。
 奨励金の平均支給額は、2014年度は拠出金1,000円につき78.68円であったところ、2015年度には同80.04円に増加している。
 内訳をみると、1000円当たりの奨励金額が「100円以上150円」の会社は985社から1022社、同「150円以上200円未満」の会社は65社から69社、「200円以上」の会社は125社から137社と、高額の奨励金を支給する会社が増加している。
 従業員持株会は、加入する従業員に自社の株価を意識させるとともに、奨励金を支給することで従業員の加入率を高め、資産形成を促す仕組みとなる。
 さらに、株式市場における安定的な買い手としても機能する存在でもある。1000円当たり200円以上(20%以上)という高額の奨励金を支払ってでも意義を見出せると考える会社が増えていると言えよう。


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