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「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準案」の
概要が明らかに
(16/09/21)

 企業会計基準委員会では、現在、日本公認会計士協会が公表している監査・保証実務委員会実務指針第63号「諸税金に関する会計処理及び表示に係る監査上の取扱い」を移管すべく検討を行っているが、移管後の会計基準(案)の概要が明らかになった。

 基本的には監査保証実務指針第63号を踏襲するものとなっている。ただし、土地の譲渡等による追加課税(重課法人税)については、現在課税されていないため、会計基準(案)には含められていない。また、事業税については、利益に関連する金額を課税標準とする事業税のみならず、それ以外の事業税も会計基準(案)の適用対象とし、企業会計基準委員会の実務対応報告第12号「法人事業税における外形標準課税部分の損益計算書上の表示についての実務上の取扱い」の内容が、会計基準(案)に統合されている(移管後、実務対応報告第12号は廃止予定)。

 このため、会計基準(案)の適用範囲については、日本で納税する企業の連結財務諸表及び個別財務諸表における法人税、地方法人税、住民税及び事業税に関する会計処理及び開示に適用することとされている。適用対象とする税金の範囲を在外子会社における税金まで広げると抜本的な見直しになってしまうため、日本で納税する企業に限定する方向となっている。 

 具体的な会計処理に関しては、毎年度の納税申告書に基づき納付する法人税、地方法人税、住民税及び事業税については、当事業年度の納税申告書に基づき算定される法人税額、地方法人税額、住民税額及び事業税額(税務上の欠損金の繰戻しにより還付を請求する還付法人税額及び還付地方法人税額を含む)を当該事業年度の損益に計上する。

 更正等により追加で徴収される可能性が高く、当該追徴税額を合理的に見積ることができる場合には、誤謬(企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」第4項(8))に該当するときを除き、原則として、当該追徴税額を損益として計上する。また、更正等により還付されることが確実に見込まれ、当該還付税額を合理的に見積ることができる場合等については、誤謬に該当するときを除き、還付税額を損益として計上することとされている。

 なお、開示に関しては、監査保証実務指針第63号及び実務対応報告第12号とほぼ同様の内容が移管される予定となっており、税金費用の表示区分についての変更はない。


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