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子会社株式とのれんの減損がASBJの新規テーマに決定
(16/07/25)

 企業会計基準委員会(ASBJ)は7月13日、財務会計基準機構(FASF)の基準諮問会議(会計基準の検討テーマなどを審議する機関)の提言を受け、子会社、関連会社株式の減損とのれんの減損の関係について、新規テーマとして検討することを決めた。資本連結手続実務指針32項については、必ずしものれんの減損の認識が必要ない場合にも減損を認識せざるを得ない状況を生じさせているケースがあり得ると指摘されていたものである。また、マイナス金利に係る種々の会計上の論点についても適宜検討する。

 子会社、関連会社株式の減損とのれんの減損の関係については、日本経済団体連合会及び全国銀行協会から基準諮問会議に新規テーマとして提案があったもの。具体的には、「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」32項では、個別財務諸表上、子会社株式の減損処理をした場合には、のれんも合わせて償却することが求められている。これにより、上場子会社株式等を個別財務諸表上減損した場合には、連結財務諸表上のれんを償却する必要があるが、「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」に従えば、市場価格の著しい下落は、必ずしも減損となるわけではない。このため、経団連及び全銀協は、資本連結手続実務指針32項については、必ずしものれんの減損の認識が必要ない場合にも減損を認識せざるを得ない状況を生じさせており、経済実態を正しく反映していない恐れがあると指摘していた。

 この点、基準諮問会議では、企業実務に大きな影響を与える可能性があると判断し、企業会計基準委員会に対して新規テーマとして提案。これを受け、同委員会で検討することが決まったものである。

 マイナス金利に係る種々の会計上の論点の対応についても、基準諮問会議からの提案を受け、企業会計基準委員会で検討することを決めている。同委員会では、今年3月にマイナス金利下における退職給付債務の計算に係る割引率の取扱い及び金利スワップの特例処理の取扱いに関して、議事概要という形で取扱いを示しているが、あくまでも平成28年3月期決算のための緊急対応的なものにすぎない。

 マイナス金利に関しては、この他にも、(1)債権に関してマイナスの金利を支払った場合、及び債務に関してマイナスの金利を受け取った場合の会計処理及び開示(例えば、債務に関してマイナスの金利を受け取った場合に支払利息のマイナスとして表示するか、受取利息として表示するかなど)、(2)資産除去債務に係る割引率の取扱い、B金融商品の時価等の開示における時価の算定の取扱いなどが想定されている。

 ただし、マイナス金利に関しては今後の水準を予測することは困難であるほか、国際的にも会計上の取扱いが定まっていないことから、基準開発等の時期については適宜判断した上で検討することとしている。


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