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マイナス金利でも金利スワップ特例処理は継続適用OK
(16/04/12)

 企業会計基準員会は3月23日、マイナス金利に関する会計上の論点への対応について検討した結果、「現時点において、マイナス金利の状況における金利スワップの特例処理の取扱いについて当委員会の見解を示すことは難しい」としつつも、平成28年3月決算において、「仮に借入金の変動金利について金銭消費貸借契約にマイナス金利を想定した明示の定めがない場合で、かつ、ゼロを下限とすると解釈する場合でも、これまで金利スワップの特例処理が適用されていた金利スワップについて、特例処理の適用を継続することは妨げられない」という考え方を示している。

 これには、借入金の変動金利を固定化するために、変動金利を受け取り、固定金利を支払う金利スワップ契約を結んだ会社が、マイナス金利の影響で、変動金利がマイナスになる(すなわち支払いになる)場合に、もはや金利スワップが当初の変動金利の固定化という目的を達成できておらず、金利スワップの特例処理の要件を満たしていないことになるのではないかという疑義が浮上していることが背景にある。

  企業会計基準委員会としては審議時間が不足しているため、現段階で委員会としての見解を示すことは難しいとしつつ、「金利スワップの特例処理については、金利スワップとヘッジ対象となる負債の条件等が完全に一致していることではなく、ほぼ同一であることを要件としている中で、現時点では、実際に借入金の変動金利がマイナスとなっている例は少ないと考えられ、仮にマイナスとなっている場合でも、借入金の支払利息額(ゼロ)と金利スワップにおける変動金利相当額とを比較した場合、通常、両者の差額は僅少と考えられる」といった理屈で、 「これまで金利スワップの特例処理が適用されていた金利スワップについて、特例処理の適用を継続することは妨げられない」といった考え方を議事録に留める方法で実務上の疑問に答えた格好となっている。

 なお、「仮に借入金の変動金利について金銭消費貸借契約にマイナス金利を想定した明示の定めがない場合で、かつ、ゼロを下限とすると解釈する場合」とは一般的な金銭消費貸借契約及び銀行側の対応を前提としたもの。3月31日時点のマイナス金利幅が現在の水準程度であれば、実務上の疑義は杞憂に終わりそうだ。



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