目次 VI-5


5 スキャナ保存制度の拡充

 現在、税務署長の承認を受けた者は、領収書等について、一定の手続に従ってスキャナ保存をすることが認められています。この制度は、昨年度の税制改正によって要件が緩和されましたが、今回さらに、社外において領収書等を記録する場合の手続要件の見直しと小規模企業者の手続要件の特例が措置されます。

【1】スキャナ保存に係る承認の要件見直し

 国税関係書類(契約書、領収書等の重要書類に限ります。)の受領等をする者がスキャナで読み取りを行う場合には、次に掲げる事項がスキャナ保存に係る承認の要件とされます。

(1) 国税関係書類の受領等後、その受領等をする者がその国税関係書類に署名を行った上で、特に速やか(3日以内)にタイムスタンプを付すこと
(2) 記録する国税関係書類が日本工業規格A列4番以下の大きさである場合には、国税関係書類の大きさに関する情報の保存を要しないこと
(3) 適正事務処理要件のうち、相互けん制要件及び定期検査要件について、次のとおりとされます。
 相互けん制要件国税関係書類の受領等をする者以外の者が記録事項の確認(必要に応じて原本の提出を求めることを含みます。)を行うこととすることで足りること
 定期検査要件定期検査を了するまで必要とされている国税関係書類の原本保存を本店、支店、事務所、事業所その他これらに準ずるものにおいて行うこと
(4) 小規模企業者(中小企業基本法に定める小規模企業者をいいます。)である場合にあっては、上記(3)ロの定期検査要件について、税務代理人による検査とすることにより、上記(3)イの相互けん制要件を不要とすることができること

小規模企業者の特例
(経済産業省資料を基に作成)


【2】その他の見直し

(1) スキャナについて、原稿台と一体となったものに限定する要件が廃止されます。
(2) スキャナに係る階調の要件について、デジタルカメラ、スマートフォン等の機器に対応した取扱いを行うこととされます。
(3) その他所要の措置が講じられます。

適用期日 上記の改正は、平成28年9月30日以後に行う承認申請について適用されます。

実務上のポイント
 上記の「スキャナ」とは、原稿をデジタル画像にデータ変換する入力装置を指し、デジタルカメラやスマートフォン等の機器も含まれます。

 

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