目次 IV-2


2 住宅の三世代同居改修工事等に係る所得税額控除の創設

 「夢を紡ぐ子育て支援」の趣旨を踏まえて、世代間の助け合いによる子育てを支援する観点から、キッチン増設等の三世代同居に対応したリフォームに関して、一定の所得税額特別控除が認められます。

【1】三世代同居改修工事等を住宅借入金等で行った場合

 現在、借入金により一定のバリアフリー改修工事や省エネ改修工事などを含む増改築等をした場合には、一定の要件のもと「特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例」(措法41の3の2)の適用が認められています。この特例の対象に、三世代同居改修工事等に係る一定の住宅借入金等が追加されます。

リフォームローン型減税(所得税)
・2.0%対象工事に三世代同居対応工事を追加
・ローン残高の一定割合を所得税額から控除
控除率 対象工事 限度額 最大控除額
2.0% バリアフリー・省エネ・三世代同居 250万円 62.5万円
(5年間)
1.0% その他 750万円
「平成28年度 国土交通省税制改正概要」(国土交通省HP)を基に作成

三世代同居リフォームローン型減税の概要
要  件
個人が、その者の有する居住用の家屋について一定の三世代同居改修工事を含む増改築等(以下「三世代同居改修工事等(注))をすること
その居住用家屋を平成28年4月1日から平成31年6月30日までの間にその者の居住の用に供すること
償還期間5年以上の住宅借入金等で、三世代同居改修工事等に充てるために借り入れた住宅借入金等の年末残高(1,000万円を限度)の区分に応じ、それぞれ次に定める割合に相当する金額の合計額が所得税の額から控除されます。
(1) 一定の三世代同居改修工事に係る工事費用(250万円を限度)に相当する住宅借入金等の年末残高 2%
(2) (1)以外の住宅借入金等の年末残高 1%
控除期間 5年
証 明 書 三世代同居改修工事等の証明書の発行は、住宅の品質確保の促進等に関する法律に規定する登録住宅性能評価機関、建築基準法に規定する指定確認検査機関、建築士法の規定により登録された建築士事務所に所属する建築士又は特定住宅取庇担保責任の履行の確保等に関する法律の規定による指定を受けた住宅取庇担保責任保険法人が行うものとされます。(下記【2】において同じ。)
そ の 他 現行の「特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例」(措法41の3の2)の要件と同じ
(注)  三世代同居改修工事等……(1)調理室、(2)浴室、(3)便所又は(4)玄関のいずれかを増設する工事(改修後、(1)から(4)までのいずれか2つ以上が複数となるものに限ります。)であって、その工事費用(補助金等の交付がある場合には、その補助金等の額を控除した後の金額)の合計額が50万円を超えるものをいいます。

実務上のポイント
 この特例は、「住宅の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除」(措法41)との選択適用です。


【2】三世代同居改修工事等を自己資金で行った場合

 現在、自己資金により一定のバリアフリー改修工事や省エネ改修工事などを含む増改築等をした場合には、一定の要件のもと「既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除」(措法41の19の3)の適用が認められています。この特例の対象に、三世代同居改修工事等が追加されます。

リフォーム投資型減税(所得税)
・対象工事に三世代同居対応工事を追加
・工事費等の10%を所得税額から控除(対象工事限度額250万円)
  限度額 最大控除額
耐   震 250万円 25万円
バリアフリー 200万円 20万円
省 エ ネ 250万円 25万円
三世代同居 250万円 25万円
「平成28年度 国土交通省税制改正概要」(国土交通省HP)を基に作成

三世代同居リフォーム投資型減税の概要
要  件
個人が、その者の有する居住用の家屋について一定の三世代同居改修工事をすること
その居住用家屋を平成28年4月1日から平成31年6月30日までの間にその者の居住の用に供すること
税額控除額
三世代同居改修工事に係る標準的な工事費用相当額
(250万円を限度)
 × 10%
控除期間 1回限り(工事をした年のみ)
手  続 この税額控除は、確定申告書に、控除に関する明細書、三世代同居改修工事が行われた家屋である旨を証する書類及び登記事項証明書その他の書類の添付がある場合に適用するものとされます。
そ の 他
その年の前年以前3年内の各年分において本税額控除の適用を受けた者は、その年分においては本税額控除の適用を受けることはできません。
その年分の合計所得金額が3,000万円を超える場合には、本税額控除は適用されません。
この税額控除は、「住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除」(措法41)又は「特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例」(措法41の3の2)の適用を受ける場合には、適用しないこととされます。
(注)  上記の「標準的な工事費用相当額」とは、三世代同居改修工事の改修部位ごとに標準的な工事費用の額として定められた金額にその三世代同居改修工事を行った箇所数を乗じて計算した金額をいいます。

 

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