目次 VI-3


3 その他の国際税制関連の改正

【1】非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度の整備

 各国税務当局間で非居住者の口座情報を自動的に交換することについてG20サミット等で合意したことを受け、銀行等の一定の金融機関は、非居住者に係る口座情報を税務署長に提供する制度が整備されます。

■日本から外国への情報提供のイメージ
日本から外国への情報提供のイメージ
(出典:財務省「参考資料(法人税改革以外)」)


【2】国際課税原則の帰属主義への変更の円滑な実施

 平成26年度税制改正で措置された国際課税原則の帰属主義への変更(平成28年4月1日施行)が円滑に実施されるよう、次の措置が講じられます。

(1) 外国法人が得る履行期間が6か月未満の売掛債権等に係る利子は、法人税法に規定する国内源泉所得である「国内資産の運用・保有所得」に該当しない旨が明確化されます。
(2) 外国法人の恒久的施設と本店等との間で、恒久的施設に帰属しなくても課税対象となる国内不動産の譲渡所得や貸付対価等の国内源泉所得を生ずべき資産のその恒久的施設による譲渡又は取得に相当する内部取引があった場合には、その内部取引は、その資産の内部取引の直前の帳簿価額に相当する金額により行われたものとして、その外国法人の恒久的施設帰属所得に係る所得の金額を計算することとされます。
この場合のその外国法人の恒久的施設における内部取引に係る資産の取得価額は、その内部取引の直前の帳簿価額に相当する金額とされます。
(注)  非居住者の恒久的施設と事業場等との間の内部取引についても、上記と同様の措置が講じられます。
(3) 外国銀行等の資本に係る負債の利子の損金算入制度による損金算入額は、確定申告書等に記載された金額が限度とされます。
(4) 内国法人の外国税額控除における国外所得金額について、国外事業所等帰属所得とそれ以外の国外源泉所得に区分して計算方法を定めるとともに、国外事業所等帰属所得に係る所得の金額の計算について明確化のための所要の整備が行われます。
また、内国法人の本店等と国外事業所等との間の内部取引について、上記(2)と同様の措置が講じられます。

適用期日 上記の改正は、平成28年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税及び平成29年分以後の所得税について適用されます。


【3】クロスボーダーの組織再編成に係る適格性判定の特例の見直し

 合併等の組織再編成に係る適格性を判定するための特定軽課税外国法人の定義について、次の見直しが行われます。

(1) 設立後間もないために、その外国法人の実際の租税負担割合を計算することができない場合には、その外国法人が所得を得たとした場合に適用される本店所在地国の外国法人税の税率をもってその外国法人の租税負担割合とされます。
(2) 外国子会社合算税制におけるトリガー税率が20%未満(現行20%以下)に変更されることに伴い、特定軽課税外国法人に該当することとされる著しく低い租税負担割合の基準が2%未満(現行20%以下)に変更されます。

適用期日 上記の改正は、平成27年4月1日以後に行われる合併等について適用されます。

 

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