目次 V-4


4 その他の相続・贈与税制関連の改正

【1】事業承継税制の拡充

 非上場株式等に係る贈与税・相続税の納税猶予制度(事業承継税制)について、次の見直しが行われます。

(1) 経営贈与承継期間経過後に、経営承継受贈者が後継者へ特例受贈非上場株式等を贈与した場合において、その後継者が贈与税の納税猶予制度の適用を受けるときは、その適用を受ける特例受贈非上場株式等に係る猶予税額が免除されます。
(2) 経営贈与承継期間内に、経営承継受贈者が後継者へ特例受贈非上場株式等を贈与した場合(身体障害等のやむを得ない理由によりその経営承継受贈者が認定贈与承継会社の代表者でなくなった場合に限ります。)において、その後継者が贈与税の納税猶予制度の適用を受けるときは、その適用を受ける特例受贈非上場株式等に係る猶予税額が免除されます(相続税の納税猶予制度についても同様とされます。)。
(3) 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律の改正を前提に、認定承継会社等に係る認定事務が都道府県に移譲されることに伴う所要の措置が講じられます。

 上記の改正は、贈与税の納税猶予制度の適用を受けている者(2代目)が、3代目に対する再贈与を行う場合に、贈与税の納税義務が生じないようにするという趣旨によるものです。


【2】番号利用法(マイナンバー)関連

 適用の際に、申告書に住民票の写し等を添付することとされている次の特例について、税務署長が行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(以下「番号利用法」といいます。)の規定により氏名及び住所等を確認することができるときは、住民票の写し等の添付を要しないこととされます。

(1) 贈与税の配偶者控除
(2) 相続時精算課税制度の選択
(3) 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
(4) 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置
(5) 特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税制度の特例
(6) 東日本大震災の被災者が直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置

参考 平成27年1月1日から適用されている相続・贈与税制の改正(平成25年度改正)
項 目 内 容
相続税の基礎控除
の引下げ
【定額控除】5,000万円 → 3,000万円
【法定相続人比例控除】(1人当たり)1,000万円 → 600万円
相続税の税率構造
の見直し
【税率構造】6段階 → 8段階
【最高税率】50% → 55%
未成年者控除・障
害者控除の引上げ
【未成年者控除】(20歳までの1年につき)6万円 → 10万円
【障害者控除】 (85歳までの1年につき)6万円 → 10万円
(特別障害者については、12万円 → 20万円
小規模宅地等の特
例の拡充
【適用対象面積の拡大】
(特定居住用宅地等)上限240平方メートル → 330平方メートル
【特定事業用・特定居住用の宅地を併用する場合の限度面積】
最大400平方メートル → 730平方メートル
(特定居住用宅地等の適用要件の緩和〔二世帯住宅等〕は平成26年1月1日から適用)
贈与税の税率構造
の見直し
【税率構造】6段階 → 8段階
(20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合の税率構造は緩和)
【最高税率】50% → 55%
相続時精算課税制
度の適用要件の見
直し
【受贈者】20歳以上の推定相続人 → 20歳以上の推定相続人及び孫
【贈与者】65歳以上の者 → 60歳以上の者

 

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