目次 I-5


5 研究開発税制の見直し

【1】研究開発税制の概要

 研究開発税制は、青色申告の法人及び個人を対象とするもので、次の4つの制度によって構成されています。

(1)試験研究費の総額に係る税額控除制度

 損金の額に算入される試験研究費の額の一定割合の金額を法人税額から控除することを認めるものです。

(2)特別試験研究に係る税額控除制度

 損金の額に算入される特別試験研究費の額の一定割合の金額を法人税額から控除することを認めるものです。

(3)中小企業技術基盤強化税制

 損金の額に算入される試験研究費の額がある場合に、「試験研究費の総額に係る税額控除制度」又は「特別試験研究に係る税額控除制度」との選択適用で、その試験研究費の額の一定割合の金額を法人税額から控除することを認めるものです。

(4)試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度(時限措置)

 上記(1)(2)及び(3)の制度とは別枠で、一定の要件に該当する場合、損金の額に算入される試験研究費の額の一定割合の金額を法人税額から控除することを認めるものです。これには、増加型と高水準型があります。


【2】改正の概要

 研究開発税制について、企業のオープンイノベーション(外部の技術・知識を活用した研究開発)の促進などの観点から、控除率が大幅に引き上げられるとともに中小企業の知的財産権の使用料等が対象費用に追加されます。

 具体的には、本体(恒久措置)の控除税額の上限を当期の法人税額の30%(原則20%)に引き上げていた措置が適用期限の到来により廃止され、それに伴い、新たに以下の措置により、控除税額の上限の総枠が当期の法人税額の30%とされます。所得税も同様に措置されます。

(1) 特別試験研究に係る税額控除制度について、次の見直しが行われます。
イ 税額控除率(現行12%)が次のとおり引き上げられます。
特別試験研究機関等又は大学等との共同研究及びこれらに対する委託研究 30%
上記以外のもの 20%
 控除税額の上限が試験研究費の総額に係る税額控除制度及び中小企業技術基盤強化税制とは別枠で当期の法人税額の5%とされます。
ハ 特別試験研究費の範囲について、次の見直しが行われます。
 (イ)  特別試験研究機関等のうち試験研究独立行政法人の範囲から国立研究開発法人以外の法人が除外されます。
 (ロ)  特定中小企業者に対する委託研究の対象となる委託先の範囲に公益法人等、地方公共団体の機関、地方独立行政法人等が加えられます。
 (ハ)  特定中小企業者に対して支払う知的財産権の使用料が加えられます。
(2) 試験研究費の総額に係る税額控除制度及び中小企業技術基盤強化税制の控除税額の上限が当期の法人税額の25%とされます。
(注)  これらの制度の対象となる試験研究費の額には、特別試験研究費の額に係る税額控除制度の対象とした特別試験研究費の額を含まないこととされます。
(3) 繰越税額控除限度超過額及び繰越中小企業者等税額控除限度超過額に係る税額控除制度が廃止されます。

■現行制度と改正案のイメージ
【現行】
現行制度と改正案のイメージ【現行】
(出典:経済産業省「研究開発税制の概要」)

【改正案】
現行制度と改正案のイメージ【改正案】
(出典:経済産業省「平成27年度 経済産業関係 税制改正について」)

 

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