目次 VI-3


3 猶予制度の見直し

 換価の猶予(国税徴収法151条)は、一定の要件に該当する場合に、滞納処分による財産の換価が猶予されるもので、現行制度によれば職権によるもののみとされています。また、納税の猶予(国税通則法46条)は、災害等の理由で一定の要件に該当する場合に、納税が猶予されるものです。これらの猶予制度について次の措置が講じられます。


【1】換価の猶予の特例(申請)の創設

(1) 申請と猶予 税務署長は、滞納者につき国税を一時に納付することによりその事業の継続又はその生活の維持を困難にするおそれがあると認められる場合において、その者が納税について誠実な意思を有すると認められるときは、その国税の納期限から6か月以内にされたその者の申請に基づき、1年以内の期間を限り、換価の猶予をすることができることとされます。ただし、その申請に係る国税以外の国税(猶予の申請中の国税及び一定の猶予中の国税を除きます。)について滞納がある場合は、この限りでないこととされます。
(2) 納付の方法 上記(1)の換価の猶予をする場合には、その猶予に係る国税(その納付を困難とする金額として、滞納国税の額から納付可能な額を控除した一定の額を限度とされます。)の納付については、税務署長においてやむを得ない理由があると認める場合を除き、その猶予期間内において、毎月納付の方法により、その猶予に係る金額をその者の財産の状況及び納付能力からみて合理的かつ妥当なものに分割して納付させなければならないこととされます。
(3) 猶予期間の延長 税務署長は、上記(1)の換価の猶予をした場合において、その猶予をした期間内にその猶予をした金額を納付することができないやむを得ない理由があると認めるときは、滞納者の申請に基づき、その期間を延長(当初の猶予期間と併せて2年間を限度)することができることとされます。
(4) 申請の手続 換価の猶予(その猶予期間の延長を含みます。)の申請をしようとする者は、一定の事項を記載した申請書に、財産目録及び収支の状況等を明らかにする一定の書類を添付した上で提出しなければならないこととされます。
(注) 延滞税の軽減については換価の猶予(職権)と同様とし、担保の徴取基準、猶予の申請手続(猶予の不許可事由、申請に係る補正の手続等、猶予の取消事由)については、見直し後の納税の猶予(下記【2】を参照)と同様とされます。

適用期日 上記の改正は、平成27年4月1日以後に納期限が到来する国税について適用されます。


【2】納税の猶予及び換価の猶予(職権)の見直し

(1) 担保の徴取基準の見直し
イ 要担保徴取額の最低限度額が100万円(現行:50万円)に引き上げられます。
ロ 猶予期間が3か月以内の場合には担保が不要とされます。
(2) 納付方法の見直し
(3) 申請・添付書類の整備
(4) 猶予の不許可事由の整備
(5) 申請に係る補正の手続等
(6) 猶予の取消事由の整備
(7) 納税の猶予の申請に関する調査に係る質問検査権の規定の整備

適用期日 上記の改正は、平成27年4月1日以後に行われる納税の猶予の申請又は同日以後に行われる換価の猶予に係る国税について適用されます。

 

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